Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.25
Nov 2004

日本緩和医療学会 ニューズレター第25号

シンポジウム3
緩和ケアチームの現状と展望
司会 : 国立がんセンター中央病院  下山直人
北里大学  的場元弘
 すでに緩和ケアチーム検討会のメイリングリストにおいては数百通のメールが行き交っており、普段メールでは顔の見えない相手をお互いに確認することができる期待感も高まっている中で、その延長上でのシンポジウムがはじまった。
 演者としては、チームのコアメンバー(緩和ケアチーム加算の中では)である緩和ケア医として北里大学の的場元弘氏、精神科医として国立がんセンター中央病院精神科(精神腫瘍)の中野智仁氏、緩和ケアナースとしては昭和大学の梅田恵氏、今後、コアメンバーとして参入が検討されるべき薬剤師として札幌医科大学の中田浩雅氏、国立がんセンター中央病院ソーシャルワーカーの大松氏、座長として国立がんセンター中央病院の下山、前述の的場氏がそれぞれの役割、チームの意義についてディスカッションを行った。今回は加算に関するテクニカルな問題についての論争はさけ、緩和ケアチームの本来あるべき姿の検討、それにおける問題点について検討された。それぞれの発表からは、早期からの全人的な緩和医療の実践における緩和ケアチームの存在意義に関しては異論のないことがうかがいしれた。しかし、実際の診療における緩和ケアチームのスタンスに関して、まず問題点が指摘された。痛み、症状緩和に関する薬剤の処方に関して、誰がイニシャチブをとるか、誰に責任があるか、という問題である。コンサルテーション型をとっていれば院内の他科依頼と同様に、依頼された科が持つとする意見と、主治医を中心としたコンサルテーションチームであり、処方権も主治医にあるとする意見があった。また後者では、依頼された科が処方をしないと主治医の痛み治療に対する熱意、技術を低下させてしまうとする意見も出た。このことは緩和ケアチームの関わりの程度にも大きく影響する問題であり、緩和医療の普及、教育の点でも今後検討され続けられるべき問題と思われた。また、この点は、主治医の専門領域、緩和ケア医の専門領域の違いによっても異なる問題であった。次にあげられたのは精神科の存在意義に関する不安であった。これは学会後のMLでも活発に議論されることとなった。チームでまだ多くの患者をみていないところでは精神科医をはじめチームメンバーが自分の役割を実感できていないことが伺われた。
 緩和ケアチームナースの梅田氏は、講演の中で看護師が病棟を離れ、チームの中で看護師がイニシャチブとれる役割を提示した。しかし、これに対しては病棟を離れる不安、看護師がイニシャチブをとるという不安からの質問がみられた。薬剤師のチーム内での存在意義は、服薬指導を行って患者、医療者のオピオイドに対する偏見を取り除き貢献していることに異議はなかった。今後の課題としての外来化学療法患者に対する緩和ケアの不足に関する大松氏の発表は、日本の緩和医療における新しい問題を提起した。これに対しては一般病院からの医師のコメントもあり、一般病院、在宅医療、ホスピスが作る三角形の連携に対する緩和ケアチームの関わりが今後もっと検討されるべきと思われた。

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