Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.25
Nov 2004

日本緩和医療学会 ニューズレター第25号

教育講演2
呼吸症状のコントロール
演者 : 静岡県立静岡がんセンター緩和医療科  田中 桂子
司会・報告 : 国立病院機構西群馬病院  斎藤 龍生
 静岡県立静岡がんセンター緩和医療科の田中桂子先生による「呼吸症状のコントロール」の教育講演では、がん患者の呼吸症状のうち代表的な「呼吸困難」を「呼吸時の不快な感覚」と定義し、そのコントロールについて、文献的エビデンスを紹介しながら、キーポイントが紹介された。 2001年American Society of Clinical Oncology(ASCO):がん症状マネジメントの効果的教育カリキュラムを中心に、呼吸困難緩和のアルゴリズムが提示された。まず原因となっている病態の治療(気道に挿入するステント挿入、胸水・心嚢水に対するドレナージ、肺炎に対する抗生剤、貧血に対する輸血など)を行い、その上で低酸素では酸素の投与、低酸素がなかったらモルヒネを選択すること、モルヒネが無効なら抗不安薬が推奨された。薬物療法としてはOxford Textbook of Palliative Medicineを参考に、酸素療法、モルヒネ、抗不安薬、ステロイドをあげ、可逆的・治療可能な病因の改善方法を紹介した。これらのうちでEBMが確立しているのは、モルヒネの全身投与のみであり、酸素投与はpositive dataとnegative dataを示し、抗不安薬についてはその効果の可能性を提示し、ステロイドについては有効の可能性はあるものEBMはないことが示された。非薬物療法として、肺理学療法(呼吸法の指導・体位の工夫・スクイージング)、心理的サポート(リラクゼーション・アロマテラピー・十分な説明)、環境のセッティング(空気の流れ・低めの室温)の重要性が示された。どんな治療をどこまで行うかについて森田らの研究をもとに、1)予後の見通し、2)本人の希望、3)治療のメリットとデメリットを重視することが推奨された。フロアからの質問では、モルヒネは疼痛に対する使用より少ない量で安全に使えるという表現は誤解を招くという指摘があり、あくまでも平均使用量のデータであり個別的には逆の場合もあることがコメントされた。またオピオイドの種類によって呼吸困難緩和効果の違いがあるかの質問に対しては、μ1受容体選択的なフェンタニールでは効果が低い可能性があるが系統的研究結果はないとのコメントがあった。

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