Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.25
Nov 2004

日本緩和医療学会 ニューズレター第25号

巻頭言
日本緩和医療学会に求められるもの
国立がんセンター総長  垣添 忠生
 第1回日本緩和医療学会は平成8年7月25日、26日の両日、札幌で開催された。柏木哲夫先生が会長で、約1,200名の参加をみた。
 現在、わが国では年間に約50数万人〜60万人の人ががんになっている(その実態が正確に把握されていない、つまりがん登録の精度が低いことはここでは触れない)。そのうち、大略50%の人は治り、50%の人が亡くなっている。この治療成績に大きな地域の差、治療機関格差があるのも問題だが、この問題にもここでは触れない。治る人々に対しては、できるだけQOLの高い治療が問われるようになり、医療現場ではある程度、その求めに応じることが可能となってきた。
 問題は亡くなる50%の人である。平成15年度には約31万人が亡くなっている。厚生省がん研究助成金という制度がある。昭和52年から「がんの痛み」に関する研究が始り、さらに「終末期医療の研究」に発展し、今日まで続いている。また、がん克服新10か年戦略の中でも、サイコオンコロジーやQOLの研究班がたてられた。こうした公的重視と軌を一にして、がん緩和医療の重要性を認識し、活動を始めていた先駆的な医師、看護師、技師その他様々な職種の人やボランティアもまき込み、上述した日本緩和医療学会が設立された。
 年々、会員は増加し、その活動は活発になっていた。平成16年4月現在、会員数約2,500名となった。特徴的な点はその構成で、医師58%、看護師30%、その他12%と、他の医学会には見られないユニークなものだ。このことは、緩和医療が、患者さんを中心とし、その臨床に密着した学会であることを明瞭に示している。
 来年、第10回総会は私が会長を務めさせていただく。平成17年6月30日〜7月2日、日本サイコオンコロジー学会との合同学会総会として、パシフィコ横浜で開催する。日本緩和医療学会が緩和医療を必要とする患者さんを中心とした現場の医学、医療に根ざした活動という特徴を大切にしていきたい。国際的な協力も必要であるし、国内の他学会とも連携し、本学会はますます発展するだろう。組織としてどんなに大きくなっても、「がん患者さんのため」と、「学問のため」という縦糸と横糸の関係を維持することの大切さを改めて想い起したい。

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