Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.24
Aug 2004

日本緩和医療学会 ニューズレター第24号

学会印象記
日本死の臨床研究会第11回関東支部大会
千葉県がんセンター整形外科  安部 能成
 2004年6月5日、日本死の臨床研究会第11回関東支部大会(大会長:渡辺敏千葉県がんセンター緩和医療科部長)が、千葉ターミナルケア研究会の協賛を得て千葉市民会館において開催された。大会のテーマは「死の臨床における生命倫理」と「在宅での看取り」で、一般演題2題と事例検討2題、特別講演とシンポジウムが行われた。
 第1席の千葉県がんセンターの安部能成氏は「生命リスクと患者本人の希望に逡巡した症例」について、死の臨床におけるリハビリテーションの取組みの中心課題が患者の主訴に応えることを踏まえながら、治療的活動と生命的危険の間に存在する生命倫理的課題を提起された。
 第2席の岬訪問看護ステーションの新井君江氏は「家族が安心して看取れるための支援」として平均年齢を超えた高齢がん患者について、未告知のため鎮痛剤が不充分でも御本人の希望を尊重し、家族が自宅で看取れて良かったと満足感と達成感が得られる支援を行う、という観点から実践的報告をされた。
 第3席の山王病院の角田純一氏は「終末期がん患者をどう支えるか」と題して、精神遅滞や言語的コミュニケーションに困難のある事例について、きめ細かい対応と共に自己決定の扱いを問題提起された。
 第4席の、つくばセントラル病院の本田久美子氏は「生き続けることへの希望を失った患者のケアを考える」と題し、セデーションに至った患者の問題を取り上げられた。身体的症状、精神的状態は安定、とされていたが、フロアからは社会的問題、スピリチュアルペインへの対応に多くの質問が出された。
 午後は、千葉県がんセンターでのヴォランティアにも参加されている女声合唱団ルーナ・ヴォーチェの心に響くスキャット・コーラスから再開された。
 特別講演において尚美学園大学の五十子敬子氏は「疼痛緩和医療をめぐって−生命倫理的視座からの考察−」と題する講演を行い、日欧米の現状について、安楽死の問題を絡めて法学的な考察を加えられた。
 「在宅での看取り」をテーマにしたシンポジウムでは、医師、看護師、ソーシャルワーカー、市民団体代表(在宅を進める患者家族の会)、米国のホスピス研究者、という異なる立場から、多角的な問題検討がなされ、フロアからも多数の発言があった。司会者の大岩孝司(さくさべ坂通り診療所)氏は、問題は多々あるが在宅も一つの選択肢であることが余りにも知られていない、ということが最大の問題点である、と総括された。
 本大会は、地方会という位置づけながら午前10時から午後5時まで盛りだくさんのメニューが用意され、冷房の効いた会場は200余人の参加者の熱気にあふれていた。最後に次期大会は、埼玉県立がんセンターの岡部貞夫氏を会長に、2005年6月4日、大宮ソニックシティーにて開催の予定であることがアナウンスされて閉幕となった。

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