Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.24
Aug 2004

日本緩和医療学会 ニューズレター第24号

学会印象記
第8回多施設緩和ケア研究会
千葉県がんセンター整形外科  安部 能成
 2004年4月25日、聖路加国際病院のトイスラーホールで第8回多施設緩和ケア研究会が開催された。シンポジウムのテーマは「チーム医療のあり方」で、6名の演者が発表された。
 第1席の山王病院緩和ケア科医長の角田純一氏は、チーム医療のあり方について、緩和ケア病棟の立場から、と題して発表された。特にチームのあり方について、従来のようなヒエラルキー型のチームで良いのか、という問題提起がなされた。
 第2席の聖路加国際病院緩和ケア病棟アシスタントナースマネジャーの小和田美由紀氏は、聖路加国際病院緩和ケア病棟におけるチーム医療、ナースの立場から、と題して発表された。チーム内の情報交換について、電子カルテ導入による文章表現的制限という弱点の指摘があり、また、独自のチェックシート開発によるチームカンファレンスの活性化という実践結果が報告された。
 第3席の昭和大学病院緩和ケアセンター・がん看護専門看護師の梅田恵氏は、チーム医療における要件と患者へのメリット、と題して発表された。医師も看護師も新陳代謝の激しい大学病院の特殊性を踏まえて緩和ケアを推進する要件は、多職種による緩和チームのメンバーが、重複、繰り返しを厭わず均一な対応を行うこと、緩和ケア病棟を持たない大学病院での患者へのメリットは、地域との連携を確保しておくこと、と分析された。
 第4席の北里大学病院精神科医師の嘉納明子氏は、北里大学病院緩和ケアチームにおける精神科医の役割、と題する発表の中で、御自身の経験の少なさを前提条件とされながら、精神科医の役割は事前に考えていたより少なく、特にスピリチュアルペインへの対応には、治療的経過を長く共にしてきたスタッフのほうが取り組み易い面がある、と示唆された。
 第5席の聖路加国際病院薬剤部チーフの塩川満氏は、緩和ケアにおける薬剤師のかかわり、と題して発表された。緩和ケアでの薬物療法について、臨床薬剤師が、いわば番人の役割を果たすことを実現化した意欲的な取り組みであり、その裏づけとなるべく、薬剤師会も勉強会を開催するまでになっていることが報告された。
 第6席の国立がんセンター中央病院ソーシャルワーカーの大松重宏氏は、緩和ケア施設移行へのチームアプローチ、と題して発表された。平均入院患者550人、平均在院16日、外来化学療法に重点が移行しつつあり、緩和ケア病棟を持たないという条件がある。その中で主治医と緩和ケアチームが円滑に業務を遂行してくための苦心がうかがわれた。
 続いて日赤医療センター緩和ケア科部長の秋山修氏を座長に、緩和ケアチーム内の情報交換を主題とした総合討論が行われ、主治医と緩和ケアチームが旨く連携しあうことが重要、という認識に至った。最後に、代表世話人である国立がんセンター中央病院緩和医療科医長の下山直人氏が、患者さんのニーズに応えるためのチームカンファレンスであるはずで、逆に、そうでなければカンファレンス自体が意味をなさないと、指摘された。
 終了予定時刻を30分も延長するほど盛会であったが、緩和ケアチームを構成する多職種の中で、リハビリについてはフロアから発言があったものの、臨床心理やチャプレン、ボランティアの声が聞こえなかったのが僅かな影を落としていた。

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