Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.24
Aug 2004

日本緩和医療学会 ニューズレター第24号

ポスターセッション
代替医療2
司会・報告 : 水俣市立総合医療センター 外科兼臨床検査科  谷川 富夫
 清々しい外の気候とあいまって、ポスターセッション代替医療2の6演題は、多職種にわたる発表者により、新鮮で興味深い内容であった。P1-55の宮内貴子氏の発表は、ホスピス・緩和ケア病棟でのアロマセラピーの実施状況に関するもので、約半数の施設で導入されており、リラクゼーションや倦怠感の症状緩和に効果があった。ただし、6施設(13.3%)、9例において副作用がみられた。ほとんどが皮膚症状(8例、1例興奮)であった。パッチテストの無施行が7割強を占めており、その安全使用のための啓蒙を強調された。筆者も臨床治療や研究でアロマセラピーに関わっているが、精油・キャリアオイルは雑貨扱いのために、これまで医療施設外で盛んに行われ、そこでのトラブルが訴訟にまでなった例が多くある。そのほとんどが皮膚でのトラブルである。1%だから大丈夫という理解でなく、パッチテスト励行、さらに、医療従事者の場合は、その後の感作皮膚炎まで理解する必要があると考える。また、アロマセラピーの癌患者適応への是非については、例として、乳癌患者の中には女性ホルモン依存性ゆえに使用注意の精油が存在するし、マッサージでの注意として癌リンパ行性の解剖学理解など必要で、緩和医療での安全で心のこもったアロマセラピーの普及に期待したい。P1-56の砂川洋子氏の発表は、温灸器と赤外線ドームを用いた温熱療法で、ヴァイタルサイン、感情プロフィール(POMS)、リラックス尺度(RI)をモニタリングしたところ、ヴァイタルサインの変化は短時間で少なく、一方、POMS, RIは24時間後も良好な結果が得られ、安全・有用なケアというものであった。P1-57の今野 静氏は鍼灸治療師として過去4年、癌末期患者89名の治療効果を発表されたが、日常、臨床現場で苦慮する腹水・吃逆にも効果がみられ、今後、末期医療での鍼灸が期待される。P1-58の小川真生氏はペインクリニックに鍼治療を応用されるが、専門的技術を必要とする深部の「鍼のつぼ」を直接刺激する代わりに、浅い部位での鍼刺入後電流を流し「つぼ」刺激をするものである。鍼治療の有用性を示すことで、今後、医師にもTraditional Chinese Medicine(TCM)への熟知・理解を希望された。P1-59の吉田麻里子氏は音楽専門性を有しない病棟看護師14名に緩和ケア病棟での音楽療法に対するアンケート調査を施行し、音楽療法導入の問題点を浮き彫りにし、看護プランとして、音楽療法の定着を目指して施行・評価・修正していき、音楽療法の充実を目指すというものであった。P1-60の野口みゆき氏はデイルームを活用し、マッサージチェアとヒーリング系音楽鑑賞の2つの要素を個別に検討し、共に感情プロファイル(POMS)において良好な結果を得た。今後、双方利用時のデータも興味あるところである。多職種の情報交換で多くの手法を適正に使いこなすことを共に学び得たことに感謝します。発表者とその仲間の皆様の今後のご発展をお祈りします。

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