Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.24
Aug 2004

日本緩和医療学会 ニューズレター第24号

ランチョンセミナー5
緩和医療とリハビリテーションの接点−トータルペインによる視座から−
演者 : 千葉県がんセンター整形外科  安部 能成
司会・報告 : 海南病院緩和ケア  渡辺 正
 進行癌の患者に対して、リハビリテーション(以下リハビリ)はどのような役割を持っているのか、という課題は大変興味があり、セミナーには多数の参加者があった。私たちが疑問に思うように、一般に機能回復を目的としているリハビリを、癌の進行とともにADLが低下していく患者に適用することの意義について、リハビリの側からも、癌治療を行う側からも十分に検討されていない、とのことであった。そこで演者は、千葉県がんセンターにおいて1995年より取り組んできた癌患者に対するリハビリの経験を踏まえ、トータルペインの視点より、その役割と実際の方法について報告した。トータルペインは、身体的、心理的、社会的、そしてスピリチュアルな側面があり、その各々に対するリハビリの役割について述べられたが、なかでも緩和ケアにおけるリハビリのあり方として、ADL中心ではなく、QOLを視点にしたプログラムを作っていく必要性を強調された。身体的側面では、ADLとQOLの関係にみられるように、身体活動は目的ではなく手段であって、たとえば拘縮による疼痛のリハビリによる軽減、座位姿勢による視野の拡大、トイレ移動システムなど多岐にわたっている。また生活リズムの再構築を計ることにより、不眠や抑うつなどの心理的側面に介入していくこと、さらにリハビリを行う中でボディータッチや傾聴などによりスピリチュアルペインに対応していくことなど、リハビリがQOLに対して大きな役割を果たしていることを具体的に示された。それは当がんセンターにおけるリハビリへの紹介患者が年々増加していることにも伺える。海外のホスピスを見学すると、必ず専任のOT、またはPTが配属され、入院患者やデイケアを訪れる患者に関わっているが、わが国ではそのような施設はほとんどみうけられない。今回のセミナーを通して、緩和ケアにおけるリハビリの果たす役割の大きさを具体的に知ることができ、大変有意義であった。

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