Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.24
Aug 2004

日本緩和医療学会 ニューズレター第24号

パネルディスカッション3
苦痛緩和のための鎮静におけるcontroversy :
根拠に基づいた現時点での推奨と今後の課題
司会 : 国立がんセンター東病院  志真 泰夫
聖隷三方原病院  森田 達也
 パネルディスカッションの冒頭に森田達也氏から「苦痛緩和のための鎮静に関するガイドライン」作成のプロセスについて説明があった。その上で今回、パネルで検討すべき課題として、1)終末期における抑鬱とせん妄の治療可能性、2)精神的苦悩と鎮静、3)家族のケアと鎮静、4)鎮静の薬物療法、5)看護の役割、の5点を提示した。明智龍男氏(名古屋市立大学医学部)は、鬱病に関しては予後6週未満の症例では改善の可能性は低く、とくに予後2−3週未満では鎮静も症状緩和の一つとして考慮の対象となると述べた。せん妄は、鎮静の前に薬剤をはじめとする治療可能な要因を評価し同定することが重要であると強調した。次に、林章敏氏(日本バプテスト病院)は精神的苦悩の問題では評価、とくに鬱病との鑑別、意思決定の過程が重要であると指摘した。
 森田氏は鎮静を受けた患者の家族へのケアについて、対象となった家族の25%は、鎮静の経験は辛かったという調査結果を発表した。その上で、鎮静に関する情報を十分に提供し、頻回に話し合うこと、家族の役割を認め鎮静の決定に関する責任を共有することの重要性を述べた。岡田美賀子氏(聖路加国際病院)は鎮静を実施した症例を呈示し、意思決定の過程、家族の悲嘆、鎮静開始後のケアなどにおける看護の役割を詳しく述べた。とくに家族の悲嘆の過程への適切な援助が必要なことを指摘した。池永昌之氏(淀川キリスト教病院)は鎮静に使用される薬剤の文献検索からミダゾラムを第1選択薬とし、フルニトラゼパム、クロルプロマジン、レボメプロマジン、フェノバルビタールを第2選択とし、安全な投与法についても提案をした。討論では鬱病と精神的苦悩への対応、その場合の鎮静の役割が焦点となった。今回のパネルの目的は、ガイドライン作成の過程での論議を学会参加者にも共有してもらい、今後の課題を明示することであったが、そのねらいが達成できたかどうか。ガイドラインの理解と普及の過程でそれが明らかになるであろう。
(報告 : 志真泰夫、森田達也)

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