Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.24
Aug 2004

日本緩和医療学会 ニューズレター第24号

パネルディスカッション1
わが国における緩和医療学の普及と進展に関する見解
司会 : 札幌医科大学医学部麻酔科  並木 昭義
国立がんセンター中央病院  平賀 一陽
 本学会のメインテーマは「緩和医療学の普及と進展を図る」である。このテーマに関して予め評議員にアンケート調査を行った。その結果、わが国の緩和医療の現況と将来に関しては、60%が現在は普及していないが、66%が将来の見通しが明るいとの回答であった。普及していないのは医師、看護師の全体からみるとまだ一部の人にしか理解、関心を持たれていない。普及させるには医学教育、卒後教育に正式に採用されるよう積極的かつ早急に取り組む。進展する見通しが明るいとしたのは各地区で重要性が認識され熱心な会員が増えている。一方暗いとしたのは緩和医療を実施する資金と人材、マンパワーの充足が困難である。進展させる要因は医師の意識改革、特に若手医師の活躍である。進展することで質の高い、患者中心の医療が実施される。日本緩和医療学会は実践的な技術、知識の普及を図るための研修会の実施、ガイドライン、マニュアルの作成を進める。などの理由がもっとも多い意見であった。パネリストの高宮有介先生は、わが国において緩和医療が普及していくためには医師だけでなく医学生の教育が不可欠であると強調した。そして医学生を対象に出版した教科書「臨床緩和ケア」の内容について紹介した。渡邊正先生は一般病院では緩和ケアの充実と浸透が求められている。そのためには院内での教育・研修、事例検討会、疼痛コントロールプログラムの作成、各職種からなるチーム構成などの取り組みが必要であると述べた。田村恵子先生は、緩和ケアを含むがん看護の全体的な質の向上を目指して、専門的な知識、技術を備えた専門看護師の育成が今後も続けて行われる必要があると述べた。そして大阪大学の恒藤暁先生は、緩和医療のこれまでの経緯と普及状況を海外の学術活動を通して紹介した。緩和医療学の現状には地域、施設、さらに会員間に差がある。その解決には日本緩和医療学会の強いリーダーシップの発揮が必要である。
(報告 : 並木昭義)

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