Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.24
Aug 2004

日本緩和医療学会 ニューズレター第24号

教育講演7
臭気のコントロール
演者 : 要町病院 吉澤 明孝
司会・報告 : 清田病院 内科  西里 卓次
 “におい”の問題は、緩和ケアの現場で極めて大きなインパクトを持ちながらも、正面から取りあげられることは比較的少なかったテーマかと思われます。本学会でも“におい”を中心とする演題は多くはありませんでした。しかし、病におかされてもこれまで通りの自分であり続けたい、周囲に気がねなく家族や友人と関わりを持ちたいと願う患者さんや家族にとって臭気が妨げであったり、医療者にとってもケアの提供に支障を来たす可能性があることは良く知られています。
 吉澤明孝先生は、要町病院でケアを受ける頭頚部癌、乳癌、婦人科癌等の患者さんの病態の一つとしての臭気とそのコントロールのニーズに正面から立向かい、誠実に取り組むところから、臭気のコントロールが患者さんと家族のコミュニケーション、QOLにどれだけ重要かについて講演してくれました。
 病巣局所の感染、ことに嫌気性感染症や、浸出液、出血のコントロールの具体的な方法をメトロニダゾールやクリンダマイシン等を含む外用製剤の処方とともに紹介し、その成績も公表されました。また、臭気の客観的評価法の開発も試みています。病巣局所以外にも、体臭、口臭、便臭等の管理についても述べられるとともに、環境整備の一つとしての臭気のコントロールの重夏性についても要点を教えて頂きました。
 豊富な症例と経験を、ユーモアを混じえながらお話頂きましたが、要町病院の外用薬の処方をプリントにして配布されましたので参加者の各施設では翌日から新しい試みを始あることができたのではないかと恩われます。
 ある意味で「仕方のないこと」とあきらめがちな臭気の問題ですが、非言語性のコミュニケーションとしての臭いの重要性は言うまでもありません。患者さんと家族の日常性の維持を妨げる因子としての臭気コントロールは、今後緩和ケアの重要な独立した一つのChapterとなる可能性があるのではないでしょうか。「緩和医療学の普及と進展を図る」という本学会のテーマにもかなう教育講演を企画して頂いたと感謝しています。

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