Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.24
Aug 2004

日本緩和医療学会 ニューズレター第24号

教育講演4
消化器症状のコントロール
演者 : 東札幌病院  坂牧 純夫
司会・報告 : 岡山大学  田中 紀章
 この教育講演では、緩和ケアにおいてコントロールの必要な消化器症状について、「消化管システム」の基本的な理解に立ち、そのシステム異常を是正するというアプローチの有用性に重点を置いてレクチャーが行われた。
 演者は消化管システムが、(1)自律神経支配によるメカニズムと(2)腸内常在細菌叢から成り立つとし、前者としては、胃・回腸反射、胃・結腸反射の重要性について、後者では、正常細菌叢の消化・吸収の補助作用の有用性について、私達の蒙を啓いてくれた。
 特に、緩和ケアに伴う消化器症状として、便秘はオピオイド投与の際、必発と言って良い。これに対して、緩下剤の併用を行うのが教科書的な対応であるが、この際、センノシドなどの機械的下剤を長期間投与すると、消化管システムを支えている腸内の正常細菌叢が破壊され、いわゆる悪玉菌がはびこり、鼓腸からさらなる便秘→下剤の増量という悪循環に陥る恐れがある。これに対して消化管正常システムの回復という観点から、生菌製剤の併用投与が勧められる。この場合も、同時に抗生物質、特にニューキノロン系抗生剤が投与されているケースではこうした生菌製剤が活性を失うので、通常のラクトミン製剤よりも、芽胞タイプの宮入菌製剤が望ましいというプラクティカルな示唆があった。
 会場からは、市販のポピュラーな生菌製剤(プロバイオティクス)の有用性について、質問があったが、演者からは、「製造会社のデータしかないが、メカニズムからいって有用と考えるので、患者にはすすめている」との答えがあった。また、司会からは、「消化管閉塞に対する外科治療の適応」について質問があったが、これに対しては、「ケースバイケースであるが、基本的には、手術侵襲により患者のQOLが低下することはよく経験することであり、できるだけステントや、薬剤など非侵襲的に対応すべきと考える」とのコメントがあった。

Close