Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.23
May 2004

日本緩和医療学会 ニューズレター第23号

学会印象記
国際セミナー報告
静岡県立がんセンター  高橋 晃子
 2004年1月11日、昭和大学上條講堂において「緩和ケアチーム−その役割・運営・評価をめぐって」をテーマに緩和ケア国際セミナーが開催された。2002年4月緩和ケア診療加算が新設されたことに伴ない、緩和ケアチームの組織化が急速に進んできているが、緩和ケア病棟における緩和ケアを中心に発展してきた我が国において、コンサルテーション型の活動は馴染みが薄い。国内外の緩和ケアチーム活動を先駆的に行ってこられた先生方の講演は、多くの緩和ケアチームのメンバーにとってまさにタイムリーで、多くの示唆が得られた充実した内容であった。なかでも特に印象に残った内容について報告したい。
 英国の緩和ケアコンサルタントCloss先生からは、院内コンサルテーション型緩和ケアチームの欠点として、病棟チームと緩和ケアチーム間の緊張について詳細な発表があった。緩和ケアチームが完全に患者を管理できないことによる病棟チームと緩和ケアチーム間の緊張については、当センターでも多々遭遇する問題である。後半の質疑応答でもこの問題についてはさらに言及された。互いのコミュニケーションスキルを高めるとともに、患者の意向を確認し、患者が意思決定に参加できるようにすることが大事であると述べられ、誰のための緩和ケアであるかという原点に戻る大切さを改めて認識させられた。患者・家族と医療スタッフ、緩和ケアチームと病棟チーム、緩和ケアチームメンバー間それぞれに価値の対立があるであろう。緩和ケアチームの看護師として、これらの様々な調整を担い、患者の代弁者としての役割を果たしていくことを自らの課題としたい。
 セミナーの中では、緩和ケアチームの対象が末期がん患者に限定されていることについても問題点としてとりあげられた。当センターでも、がんの全ての病期の患者を対象に、積極的、継続的かつ総合的な緩和ケアの提供を目指しているが、実際は積極的治療が不適応となった患者に関する依頼が多くを占めている。そのため、緩和ケアへの移行は患者、家族にとって高い垣根を乗り越えるようなものであり、その垣根をうまく乗り越えることができないまま亡くなられる方も多い。緩和ケアチームのナースコンサルタントであるRees先生は、患者のサポートニーズにしたがって、在宅、ホスピス、病院を自由に行き来できること=シームレスであることがサービスの原則であると講演された。この原則をいかに実現させていくかについて、今後さらに検討を重ねていきたい。
 今回のセミナーでは、緩和ケアチームに携わるメンバーが皆多くの困難に直面しながらも各施設に応じた活動を発展させていくプロセスを知ることができ、今後の活動に対する勇気をいただいた。今後も他施設との情報交換を行い、患者のためにという視点を忘れずに、当センターに求められるチームのあり方を追及していきたい。

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