Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.23
May 2004

日本緩和医療学会 ニューズレター第23号

学会印象記
国際セミナー参加印象記
千葉県がんセンター整形外科  安部 能成
 新春気分の2004年1月11日、昭和大学上條講堂にて「緩和ケアチーム―その役割・運営・評価をめぐって」と題する国際セミナーが開催された。講師は、海外からの招聘として、スーザン・P・クロス医師(英国)、リーズ看護師(豪州)、日本からは、内富庸介医師、下山直人医師、梅田恵看護師の5名で、いずれも緩和ケアチームのエキスパートが選ばれていたことは準備委員会の見識の高さを示している。午前中に外国の講師が、午後の前半を我国の講師が基調公演を行い、其々に対する質疑応答を含める形で総合討論が配置され、時間を有効に使う工夫が感じられた。
 講演の内容は、第1席のスーザン・P・クロス先生は、英国の一般病院における緩和ケアチームの展開について教科書的な内容を述べられ、英国流緩和医学を学んだものには、良い復習の機会となった。第2席のリーズ先生は、豪州の急性期病院における緩和ケアチームが、医師・看護師・パルトラルワーカーから構成される多職種チームとして展開したことをナースの立場から解説された。つづく午後の部では、主として国立がんセンター緩和ケアチームについて、精神科医の立場から内富先生が、麻酔科医の立場からは下山先生が、臨床経験を述べられた。また、梅田先生は、我国で最初に緩和ケアチームを発足させた昭和大学での活動について、丁寧に説明された。厚生労働省認可の緩和ケアチームが医師と看護師で構成され、薬剤師がコメディカルとして登場するという特色は、英語圏の国々とは異なる歴史によることが理解できた。しかし、どの職種をチームメンバーとして求めるか、最終的に患者が決定することは同意できたが、既に実行されている諸外国と同様のことが我国でも実行可能かどうか、疑問が残る。
 最後の総合討論では、時間的制約にもかかわらず藤井先生と岡田先生の手際により、参加者からの質問に応える形でスムーズに進行された。しかし、午後の基調講演に対する質問を含め、フロアからの発言が少なかったのは残念な気がする。これに対し、司会の労をとられた樋口先生の弁舌さわやかなことには感銘を受けた。総合討論の最後の発言をされた高宮先生の、今後の緩和ケアチームの質的担保に関する御見解を含め、今回の国際セミナーは暖房の効いた会場のみならず、人材の面でも昭和大学と緩和ケアセンターの全面的なバックアップによるものであったと、参加者の一人として感謝申し上げたい。

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