Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.23
May 2004

日本緩和医療学会 ニューズレター第23号

Journal Club
緩和ケア専門施設での最初の1週間の、
進行ガン患者の痛みの性質とその治療効果
東北大学医学部附属病院 緩和ケアセンター  千葉 聡子
Pain Characteristics and Treatment Outcome for Advanced Cancer Patients During the First Week of Specialized Palliative Care
Annette S, et al. Journal of Pain and Symptom Management 2004;27:104-112

【要旨】
 進行がん患者には様々な症状が出現するが、痛みは最も恐れられている症状の1つである。緩和ケア専門施設へ紹介されたがん患者の痛みを調べるため、入院時の痛みの性質と投薬状況、最初の1週間での痛みの変化を調べ、最初の痛みの強さと治療効果の予測因子を検討した。初診時(T0)と1週間後(T1)に、痛みを Edmonton Symptom Assessment System(ESAS)と EORTC QLQ-C30 で評価した。最初の Pain score、T0 から T1 の両 Pain score の変化と、臨床的・患者背景的パラメーター、初診時の投薬状況、疼痛治療との間の関連を調査した。267名の患者のうち、最初の Pain score は175名から聴取できた。81%が T0 時点で麻薬を投与されていたが、最初の Pain score は高かった(ESAS:50、EORTC QLQ-C30:70)。骨転移、神経因性疼痛、複数の原因(混合して、または別々に)による痛み、突発痛を持つ患者では、最初の Pain score はより高くなるという関連があった。また、T0 時点で様々な症状のうち痛みの優先順位が高い患者、若い患者、performance status が低い患者でも、最初の Pain score はより高くなるという関連があった。両 Pain score の平均値は、最初の1週間で有意に減少した。疼痛治療の結果として痛みの改善や増悪を、有意に予測できるパラメーターはなかったが、男性患者、神経因性疼痛がある患者、見当識障害のある患者(以上 EORTC QLQ-C30 でのみ有意差あり)、痛みによる睡眠障害がある患者(ESAS でのみ有意差あり)では、治療効果として痛みが改善しやすい傾向があった。疼痛治療の進歩にも関わらず、疼痛が改善しにくい患者が存在するので、まだ治療法の改善の余地があると言えるだろう。

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