Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.23
May 2004

日本緩和医療学会 ニューズレター第23号

Journal Club
Patient-controlled methylphenidate for the management of fatigue in patients with advanced cancer
名古屋市立大学大学院医学研究科  明智 龍男
Patient-controlled methylphenidate for the management of fatigue in patients with advanced cancer: A preliminary report
Bruera E, et al. Journal of Clinical Oncology 2003;21(23):4439-4443

【背景】
 倦怠感は、進行がん患者に認められる苦痛を伴う頻度の高い症状であり、先行研究によると60-90%に倦怠感がみられることが知られている。また、がん患者の倦怠感に関連する要因として、悪液質、うつ病、痛み、オピオイドをはじめとした薬剤、貧血、抗がん剤治療などが知られているが、直接的な介入を行うことが難しいこともまれではない。精神刺激薬であるmethylphenidateは、がん患者においてみられるオピオイドに起因する鎮静や脳腫瘍に伴う認知機能障害、うつ病に有用であることが示されており、幾つかの予備的検討で、がん患者の倦怠感に対する有用性も示唆されている。しかし、先行研究は標準化された倦怠感の評価法を用いておらず、またmethylphenidateに関しては固定された投与法が行われている。今回、がんに関連した倦怠感のマネージメントに対するpatient-controlled methylphenidateの有用性と安全性を検討するために予備的なオープン試験を行った。
【目的】
 患者自身により服用量を調整する方法でmethylphenidate を投与し(patient-controlled methylphenidate)、本服用方法が倦怠感のマネージメントに有用であるか否かを予備的に検討した。
【対象と方法】
 本研究のデザインは、前向きのオープン試験とした。0-10点の倦怠感評価において4点以上を有する緩和ケア外来通院中の進行がん患者を対象に、methylphenidateを5mgから経口投与開始し、必要に応じて2時間毎に追加服用を行うこととした(なお最大投与量は一日20mgまでと設定し、研究は7日間行った。希望者には研究終了後にもmethylphenidateを継続投与した。)。研究期間中は、毎日、倦怠感を含む複数の症状を評価した。主要評価は、ベースライン、研究開始後7日、28日後における0-10点の倦怠感スコアおよびFunctional Assessment for Chronic illness Therapy-Fatigue (FACIT-F)とした。
【結果】
 30症例から有効なデータが得られた。ベースラインと7日後の間において、倦怠感スコア(7.2±1.6 v 3.0±1.9, P<.001)、FACIT-F(17.5±11.3 v 34.7±10.0, P<.001)ともに有意か改善が認められた。その他、不安、抑うつ、食欲、痛み、嘔気、眠気にも有意な改善が認められた(P<.05)。28例(93%)は、一日15mg以上のmethylphenidateを服用しており、全員が研究終了後にもmethylphenidateを継続服用することを選択していた。重篤な有害事象は認められなかった。
【考察】
 今回の予備的な結果は、patient-controlled methylphenidateが倦怠感を含む諸種の症状を迅速に緩和するうえで有用であることを示唆しており、今後、無作為化比較試験を行う合理性を支持するものと考えられた。

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