Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.23
May 2004

日本緩和医療学会 ニューズレター第23号

おかしいぞ、ニッポン!どこへゆく
広島大学大学院・精神神経医科学  山脇 成人
 小泉総理大臣が聖域なき構造改革を掲げて以来、金融機関の破綻、道路公団の民営化など既存の体制が音を立てて崩れ始めているが、いよいよ教育、医療にもメスが入り廃藩置県に相当する大改革が行われようとしている。教育界においては、少子化による子供の減少と国立大学の独立行政法人化により、大学間の学生と研究費の獲得合戦に追われて大学教官は疲弊し、本来の教育、研究の在り方が見失われつつある。一方、医療界においても国立病院の独法化に加えて、卒後研修必修化に伴う医師の空洞化と地域医療の混乱、医療経済論が先行する在院日数短縮化・包括医療・病床機能分化が推進されている中で、医療の効率化が最優先にされ、その本質であるべき病めるひとりの人間を救うという基本理念が軽視されつつあると憂慮するのは私だけであろうか。
 日本緩和医療学会は、がん患者の身体的、精神的、社会的苦痛を緩和し、ひとりの人間としての尊厳とそのQOL向上をめざす全人的医療の展開を目的として活動している。本学会の理念は、現代医療が失いつつある医療の原点であり、がん患者さんやそのご家族はもちろん社会からの期待も大きく、それに応える責任がある。迷走するわが国の医療界にあって、本学会からあるべき医療についてメッセージが発信できることを心から願いたい。

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