Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.22
Feb 2004

日本緩和医療学会 ニューズレター第22号

海外便り
セントクリストファーズホスピスでの研修に参加して
千葉県がんセンター整形外科  安部 能成
 2003年11月10日から14日の5日間、ロンドンに在るセントクリストファーズホスピス教育研修所主催の「パリアティブケアにおける多職種コース」に参加する機会を得たので報告したい。
 春秋の年2回行われている本課程は、最も多様な職種の人が、最も多くの国から集まる研修、と担当者のジャクソンさんから教わった。それだけ外国人には英語力の割引が期待できる。今回は12カ国から30人が参加しており、半数は英国人であった。職種は、チャプレン2名、ドクター8名、ナース12名、セラピスト4名、ソーシャルワーカー4名であった。
 しかし、日本の研修会で見かけるような御講義拝聴式のものは初日だけで、後は少人数の討論や1対1のインタビュー、ロールプレイなどで、息つく暇もないほど密度が濃かった。ドクターソンダースを筆頭に、大学の講師以上の実力を持った23名の講師陣が、朝の9時頃から夕方の5時を過ぎるまで、25コマの研修を担当された。受講生が気合を求められるのも当然であろう。最終日には修了証書まで授与された。
 しかし、講義だけが立派だったのではない。初日にはドクターソンダースのスピーチがあったが、その後、記念撮影と握手の時間まで設定されたのには感動した。また、ハードウェアとしてのセントクリストファーズホスピスの見学会や、研修生歓迎の夕食会、チャリティーコンサート、外国人中心のパーティ、研修参加者の連絡先作成まで、ソフトウェアでも、肌理細やかに配慮されていた。図書館の利用や関連書籍の販売もあったが、特筆すべきはティーのみならず昼食が提供されたことで、しかも美味、英国の料理は上等であると、舌で納得させられた。しかも、有料ではなく、キッチン脇の小箱にDonation, pleaseと記されていただけであった。
 今回の研修会を通して感じた英国のパリアティブケアを無理にも一言で表現してみるなら、疼痛緩和の薬物療法では大きなギャップはなく、看護でも技術的には大差ないようだが英国のナースのほうが元気であり、ソーシャルワークでは大きな落差があり、チャプレンやボランティアについては桁違い(日本流に言えば48床のホスピスに750人の有能な登録ボランティアがいる)、セラピストについては、ほぼ同程度の水準といえよう。
 これは主として、英国のパリアティブケア対象者が元気なことによる。日本のように残り数日の看取りだけというケースは、殆ど見かけなかった。予後1年というグループがあるとも聞いたので、がん患者の場合、キュアからケアへの移行が相当早期に行われているという印象が強かった。また、年間6,000件あるという死亡者の殆どが在宅であるし、通所利用としてのデイセンターの展開ぶり(ボランティアを活用した在宅ホスピスが浸透している)も記さなければならない点である。
 研修費用は350ポンド、安いB&Bの紹介もしていただけます。読者の皆様、この機会を逃さず是非ご参加ください。

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