Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.22
Feb 2004

日本緩和医療学会 ニューズレター第22号

学会印象記
第10回国際QOL研究学会(ISOQOL)印象記
流通科学大学 サービス産業学部 医療福祉サービス学科  下妻晃二郎
 2003年11月12−15日の会期で、チェコ共和国の首都プラハにて、第10回国際QOL研究学会(International Society for Quality of Life Research: ISOQOL)総会が開催された。プラハは街全体が14世紀ごろの姿のまま保存されており、街を見下ろすプラハ城、中心を流れるバルタバ(モルダウ)川と、それをまたぐカルル橋、歴史のある数々の教会と広場など、聞きしに勝る美しい街であった。また夜は、至るところでクラシックのミニコンサートが開催されていた。
 さて、本学会のミッションは、健康や医療に関連したQOLの科学的研究であるとされており、最初のころは2−3年に1回の開催であったが、最近毎年開催されるようになった。本学会のPan-pacific Conferenceが、2001年4月に東京で開催(東海大学 黒川清教授/京都大学 福原俊一教授がco-chairs)されたのは記憶に新しい。
 今年の学会の全般的な傾向・印象を一言で表すと、あくまで私見であるが、「臨床現場への回帰」、であろうか。本学会が数年来、定量的QOL尺度の開発と、計量心理学的手法(psychometrics)を駆使した信頼性・妥当性検証、さらに縦断的研究におけるmissing dataの統計学的な取り扱いなど、とかくテクニカルな話題に傾き過ぎた感があり(それはそれで大変大切であるが)、学会自身も医師の参加の減少に危機感を持っていると聞いていた。しかし今回は、例えば、item response theory(IRT)を用いたcomputer adaptive testing(CAT)という技術の進歩から、個々の患者(子供にも)にやさしいPCインターフェースを用いたQOL調査方法の開発や、それを医療現場における患者‐医療者間のコミュニケーション向上に結びつける方法が議論されたり、QOLに関する質的評価や、臨床試験の結果の発表も増えるなど、医療関係職から理解しやすい内容が相対的に増えている印象を受けた。従って、今後、緩和医療に関する発表も増えるのではないか、と思われた。
 今回日本からの参加者は数十名(?)と決して多くなかったが、東北から九州まで全国から熱心な発表があった。
 来年の本学会総会は、2004年10月16−19日に香港で、再来年2005年はサンフランシスコで開催されることになった。来年はアジアで初めてのannual meeting開催である。最近、日本以外のアジア諸国の研究熱の高まりを感じる。皆さん奮って演題を提出して参加しましょう。

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