Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.22
Feb 2004

日本緩和医療学会 ニューズレター第22号

Current Insight
我が国の緩和ケア病棟における多職種によるチームケアの現状
東京大学大学院医学系研究科 成人看護学/ターミナルケア看護学  前山 悦子
Maeyama E, Kawa M, Miyashita M, et al. Multiprofessional team approach in palliative care units in Japan. Support Care Cancer.2003;11(8):509-515.

 様々な苦痛症状を呈する終末期がん患者とその家族のケアは、容易なことではない。「チームケア」がこれらの過程に生じてくる諸問題を解決する方法として期待されることは多いが、多職種がどのようにチームを形成し、かつ患者・家族のケアを実施しているのか、我が国における実態は不明瞭である。
 筆者らは、2001年に、協力が得られた38の緩和ケア病棟を対象に、緩和ケア病棟におけるケアへの各職種の参加状況と、緩和ケア病棟専任職種である看護師、医師が自施設の「チームケア」の実践をどのようにとらえているかを調査した。
 職種別に緩和ケア病棟で開催されるカンファレンスへの参加状況について、週1回以上参加していたのは、看護師では100%、医師では97%と高いが、栄養士、医療ソーシャルワーカー、薬剤師では30〜40%と過半数に満たない状況であった。宗教家では35%、理学療法士と心理カウンセラーでは約10%と他職種に比し低かった。カンファレンスの参加率の高さから、少なくとも医師・看護師間では、患者・家族の医療上の問題を話し合う体制があると考えられた。一方、医師、看護師以外の職種については、全施設で積極的な活動を展開しているとは必ずしもいえない。
 チームケアに対する評価は、看護師は否定的に、医師は肯定的にとらえる傾向にあった。看護師のチームケアに対する評価には、カンファレンスに対する肯定的な評価と参加職種数の多さが関連しており、チームケアにおけるカンファレンスの位置付けの大きさが示された。
 上記に加え、分析途中であるが、職種間のコミュニケーションのとり方、患者について議論しあう方法等、「チームケア」として実践され認識されていることが、職種により、施設により異なっていることが明らかになりつつある。
 緩和ケアの提供は、緩和ケア病棟に限定されるものではない。病院、外来、在宅を通して、継続的、包括的に多職種・多施設が協力できるケアのシステムを築いていくために、単一職種内、施設内の議論だけではなく、お互いにどのようなチームケアの形を求め、かつ患者に関わっていきたいのかという視点から、「望ましいチームケア」を探求していく作業が、改めて必要であると考えられた。

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