Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.22
Feb 2004

日本緩和医療学会 ニューズレター第22号

Current Insight
がん患者と家族の目線に近づくこと
東京都立駒込病院 看護コンサルテーション室  川地香奈子
 東京都立駒込病院では、地域がん診療拠点病院として継続的に全人的な質の高いがん医療の提供を目指しており、長期に渡り治療を受けながら入退院を繰り返す患者も多い。
 最近当院では、デスケースカンファレンスを開催する機会が増え、亡くなった方へのケアを振り返って患者中心の医療に求められるものを検討している。できる限りのサポートはしたのだと思う一方で、患者が心身ともにより苦痛が少ない状態で過ごすためにもっと何かができたのではないか。それは何だったのだろう、また、どんなふうにできたのだろうか。そのような思いからカンファレンスが開催される。
 その中で、コミュニケーションに関することが多く取り上げられている。患者・家族とのコミュニケーション、医療チーム内での情報や目標の共有の問題などである。患者の本当の思いはどこにあるのだろうか、このままでいいのだろうか、他にもっとできることがあるのではないかと漠然と疑問を抱いていた、しかし問題を明確にできずそのまま通り過ぎてしまったけれど、そこにはどんなニーズがあったのだろうか、治療経過のどのタイミングでどのような話し合いを持てばよかったのだろうか、と振り返ることが多い。
 患者や家族と頻繁に話し合いの機会を持ったにもかかわらず、それが理解を深めることにはつながらなかった、というケースもある。このような場合、コミュニケーションの量ではなく内容が課題となっていた。多くの時間を費やすことだけでなく、患者・家族の目線で共に考え話し合うことが適切にニーズをキャッチすることにつながる。そして、何に向けてアプローチするのか、医療チームメンバー間での目標を共有することも重要である。これは終末期のがん患者に限ったことではなく、がんの診断を受けて間もない患者、治癒を目指した治療を受けている患者等どの病期の患者ケアでも同様である。
 カンファレンスの機会を通して、患者・家族の思いを尊重して誠実に向き合う姿勢、患者中心の医療という理念を共有した医療者間の話し合いの大切さをあらためて実感している。

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