Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.22
Feb 2004

日本緩和医療学会 ニューズレター第22号

Current Insight
チーム再考−緩和ケアチームは、どのような種類のチームに属すか?
千葉県がんセンター整形外科  安部 能成
 本年、千葉で開催された緩和医療学会において緩和ケアチームの問題が取り上げられ、委員会が立ち上げられたことは、保険点数の設定と相まって時期を得たものと思われる。ここで、チームとは何かについて再考したい。
 我々の念頭にあるのは、旧来の単職種チーム、例えば外科手術における医師団や病棟単位の看護師集団などとは異なる、多職種によるチームであることは明白であろう。問題は、チームにも複数の種類がある、という認識である。英国のマルコム・ペインは、これをスポーツに例え、リレー型、テニス型、サッカー型の3タイプを指摘している。すなわち、陸上や水泳のリレーチームは、バトンやタスキを繋ぐ形態をとり、チームメンバーが同時に一つのフィールドに立つことはない。これに対し、テニスや卓球などでは一組のペアが同時にフィールドに立つが、同時にプレーすることはない。ところが、サッカー型のチームは、メンバーが同時に一つのフィールドを共有し、各々の役割を果たしていく。このような同時性を持つチームに必要とされるものが、交通整理役としてのコーディネーターであり、他の形態のチームには不要である。これに対しマネジャーとは、卑近な例では忘年会の幹事のような、お世話役を意味する。その点でマネジャーは現実問題の処理係であり、将来構想を踏まえてチームを導く、というリーダーとは役割が異なる、という。
 ここで旧来の医療チームを例えていうなら、ヨット型チームであろう。スキッパーの命令通りにクルーが動いてくれなければ艇は充分機能しない。このチームは、サッカー型に近く、各メンバーが同時にフィールドに立ち、同時にプレーするが、個々人の裁量幅は小さく、リーダーの命令通りに動くことを求められる点でサッカー型と異なる。個々のメンバーは独自性を発揮するというより、部品としての役割を求められる。医療現場では、手術チームがこれに近い形態であろう。それは、患者を治癒させるため、という共通目標の達成を第一に考えた結果であると思われる。
 問題は、緩和ケアチームがいずれの形態に属すか、である。実際に患者さんは、まず受付でクラークと話し、医師の診察を受け、外来や病棟のナースに世話され、必要あればリハビリテ−ションを行い、時にソーシャルワーカーと面談している。このように緩和ケアチームは場面継続的チームワークを遂行しており、おそらくチームミーティング以外はサッカーのように同時並行的にならない。これを踏まえると、緩和ケアチームは上述のリレー型に属し、その文脈においてコーディネーターは必要ない。むしろ、リーダーとマネジャーの役割について、チームメンバーの誰が行えば最適であるかを割り出すことが、より重要となるはずである。

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