Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.21
Nov 2003

日本緩和医療学会 ニューズレター第21号

書評
Huub Buijssen, Rob Bruntink
A good ending, good for all? Care for carers working in palliative care
De Stiel publishers TRED publishers, 2003年
千葉県がんセンタ−整形外科  安部 能成
 本書は2003年4月にオランダのハーグで開催された第8回欧州緩和ケア会議を記念して出版された、オランダにおける緩和ケアの実際について、介護当事者の生の声を率直に述べた力作である。少なくとも、オランダ語を母国語とする人々が緩和ケア会議の公用語であった英語で出版したこと、そして、緩和ケアの歴史が浅いにもかかわらず、その実際を世に問うた点で、日本の関係者にも学ぶべきことが多い出版であろう。
 しかも本書の対象は、専門職にとどまらず、ナース、ドクター、ソーシャルワーカー、福祉施設の職員、看護補助員、作業療法士、心理士、パストラルワーカー、ボランティア、管理職、政策立案者、そして政治家に至る広がりを持ち、およそ死にゆく人のケアに関わる全ての人を念頭に置いている。我国よりも緩和ケアでは歴史の浅いはずのオランダが、ここまで懐深いのかと驚かされる。
 本書の内容と構成は、オランダ保健・福祉・スポーツ省大臣、および欧州緩和ケア協会会長の序に続き、123ページに渡り20の具体的なエピソードが語られ、各々の仕事の完成度を高めることを目的に結末には2つの提案がなされている。また、ストーリが始まるたびに、オランダ風なスチール写真がくつろぎの間を創出していた。さらに、本書の後半では、介護者のための介護プログラムについて35ページを割いて説明している。
 本書のような記念碑的価値をもつ著作は、日本語に翻訳されることも重要であろうが、まず標準的な英語で書かれた原著を読まれることをお勧めしたい。明日からの臨床に役立つ記述に多く出会うに違いない。(A5版、176ページ)

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