Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.21
Nov 2003

日本緩和医療学会 ニューズレター第21号

書評
Q&Aでよくわかる! がん性疼痛ケア
監修 梅田 恵・樋口比登美 / 照林社
横浜旭中央総合病院  伊奈 p(こう)
 がん医療の発展に伴いわが国では1996年に本学会が設立された。日本の終末期医療の学際的志向の夜明けである。学会での第一の課題は、日本に於けるがん疼痛治療ガイドラインの作成であった。疼痛の管理は、WHOのガイドラインに沿って本邦のものが検討され書物に著わされた。その後具体的な疼痛管理に関する指導書が見られるようになった。しかし、疼痛管理を始めるのに具体的にどこからどう手をつけていけばよいのか迷うところである。また、ガイドライン通りにはいかないこともある。本書(梅田 恵、樋口比登実監修)は照林社/Nursing Focus Seriesである。昭和大学緩和ケアセンターのがん性疼痛ケア専門家を中心に昭和大学看護部の方々の力作である。本書監修者はがん性疼痛はナースの悩みの種とし、1. がんの治療の進歩に伴うがん患者の生存の延長、がんを取り巻く社会の情勢の変化など、がん性疼痛に関わる要因のより複雑性から薬物療法だけではすんなり解決しない痛みに直面すること。2. がん性疼痛を持つ患者が、「がん」、や「痛み」と対峙し、自己コントロールしている感覚を保てるようにナースが関わることの重要性。3. がん性疼痛対策を含む緩和医療の概念は、ターミナル期のケアではなく、がんの診断時からスタートする必要性。4. モルヒネについての知識の確認の必要性、を前提に看護に必要な疼痛管理の具体的方法を示すためにQ&Aの形式とした。本書はがん性疼痛の基本、がん性疼痛治療の実際、がん性疼痛とチーム医療、患者との関係の4つのコンテンツから成っており全体で43の質問を設定し回答形式で展開している。がん性疼痛の基本の項では、疼痛の基本的理解として、痛みの種類は?、トータルペインってなんですか?と言う具合に平易な言葉での質問がされ、答えとして専門的解説がある。専門用語を使いながらもやさしい問いかけが、思わず本を読み進める。四つのコンテンツはがん性疼痛をケアしていく上で必要な概念であり、痛みを広く取り扱い認識する上で有効であると思う。今やがん患者さんの疼痛のケアは疼痛緩和チームでアプローチされるが看護師の担う部分は大きい。患者さんのQOLの向上は苦痛の緩和なくして得られないことは、V.ヘンダーソン女史が言及している。入院患者さん、在宅ホスピスの患者さんの疼痛ケアのみならず痛みをもつすべての患者さんのケアに役立つと思う。看護の専門技術として疼痛緩和ケアを実施するために本書を教科書として一読をお勧めしたい。

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