Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.21
Nov 2003

日本緩和医療学会 ニューズレター第21号

緩和ケアの課題
千葉県がんセンター整形外科  安部 能成
Robert G. Twycross
The challenge of palliative care
Int J Clin Oncol 2002;7: 271-278

要旨:緩和ケアは、疾患に焦点を当てるのではなく患者中心であり、死を免れないものとして受け入れ、身体的、ならびに、心理的、社会的、スピリチュアルな問題に関心を持つものである。そして、患者及びその家族との協力関係において、多職種が活動する最良の方法である。緩和ケアにおいては、「妥当な治療」の重要性と、医師に単なる延命の処方を行わないことが強調されている。たとえ、完治する見込みがない場合でさえも、心理社会的・スピリチュアルな癒しの可能性は大きく、しばしば身体的リハビリテ−ションの可能性さえ存在する。緩和ケアでは、専門職に感情的な問題をも求めるし、彼らに対する個人的な援助を必要とする。WHOは、今なお、がん疼痛緩和の改善、および、医学的なオピオイド使用を可能性の拡大に主導的役割を果たしている。疼痛緩和と症状管理に関する体系的な方策は重要であるが、その場合、全ての職員に対する固有の研修が求められている。多くの国において、緩和ケアが定着するには「カリスマ」が必要であった。しかしながら、緩和ケアが繁栄を極めるには、政府の関与が不可欠である。カリスマが、融通の利かない官僚主義の台頭と戦うために必要とされたにせよ、資源の欠乏による失敗を防止するためには、既存の医療体制との協調関係が必要である。
解説:緩和ケアの発展に尽力されてこられた英国のトワイクロス先生は、よりいっそうの緩和ケアの展開を図るためには、妥当な治療の確立、疼痛緩和、症状管理、リハビリテ−ションの可能性と並ぶものとして、一方で、専従職員に緩和ケア固有の研修の必要性を、他方で、政府に働き掛けて制度・政策面での展開を図るべきことを述べ、このふたつが車の両輪の関係にある、と指摘されている。

Close