Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.21
Nov 2003

日本緩和医療学会 ニューズレター第21号

がんリハビリテーション
千葉県がんセンター整形外科  安部 能成
Fialka-Moser V, Crevenna R, Korpan M and Quittan M
Cancer Rehabilitation
J Rehabil Med 2003; 35: 153-162

要旨:がんは、多面的な傷害、活動制限、社会参加の制約、の原因となり得る。症例検討に拠れば、リハビリテーション的治療は多種多彩である。本研究は、リハビリテーション固有の問題に主たる焦点を当てた。機能的障害のため、がん患者は永続的な心理的・社会的困難及びQOLの低下に苦しむ。少なくともQOLは、身体的・心理的・社会的・認知的機能の次元を包含しており、それらは全て身体的活動により影響を受ける。また、身体的活動は、不活動性または廃用症候群を予防あるいは最小限にとどめ、疲労を軽減する。性的機能障害への対応は、病歴の聴取とカウンセリングに始まる。緩和ケアにおけるリハビリテーションの目標設定は、身体的苦痛の緩和のみならず、精神的・社会的・スピリチュアルな苦痛、その他の諸症状の緩和をも含む。頭頚部がん、性的行動、肺がん、前立腺がん、乳がん、リンパ腫におけるリハビリテーション的な諸問題は、リハビリテーションによって改善し得る。主として本研究では、傷害と活動制限に焦点を当てており、社会的・心理的・職業的側面については、留保している。
解説:本誌は1992年まではScandinavian Journal of Rehabilitationと称していたことから分るように、地域的には北欧を基盤としていたが、近年は全ヨーロッパに視野を拡大しているリハビリテーション・サイドの学術雑誌である。英語圏でも、リハビリテーション分野では、がんを対象とすることは少なく、また、機能回復的なものが多く、緩和ケアを対象に含む点が注目される。しかし、本研究の視座は身体的次元にのみ傾いており、心理・社会・スピリチュアルな側面を欠いたため、旧来の枠組みから抜け出せていないのが惜しまれる。

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