Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.21
Nov 2003

日本緩和医療学会 ニューズレター第21号

Current Insight
症状緩和の為のミダゾラム投与量と投与期間の相関性:
薬剤耐性を生じる可能性
聖隷三方原病院ホスピス  宍戸 英樹・森田 達也
Morita T, Tei Y, Inoue S
Correlation of the Dose of Midazolam for Symptom Control with Administration Periods: The Possibility of Tolerance
J Pain Symptom Manage. 2003; 25: 369-375

 ミダゾラムに対する薬剤耐性は緩和ケア関連の文献に時々報告されているが、その可能性について系統的に検討した研究はない。症状緩和のためのミダゾラム投与量と投与期間の関連を調査するために、死亡前3日間にミダゾラムの非経口投与を受けていた62人の終末期がん患者を対象に後向き研究を行った。ミダゾラム最大投与量の平均は38±45mg(中央値24mg)、ミダゾラム投与期間は10±19日(中央値2.5日)であった。ミダゾラムの1日投与量が60mg以上だったのは13人(21%)であり、ミダゾラム投与期間が14日以上だったのは13人(21%)であった。最大投与量と有意な相関関係があったのは年齢(ρ=-0.32, P=0.012)と投与期間(ρ=0.47, P<0.01)であり、特にミダゾラム投与期間が14日以上の患者において高用量であった(74±63mg/day vs. 28±34mg/day, P<0.01)。多変量解析では、年齢(70歳以下)と投与期間(14日以上)がミダゾラムの1日投与量が60mg以上となる独立因子であることが示された(odds比[95%C.I.],0.091[0.009-0.92], P=0.042;11[2.3-54], P<0.01)。ミダゾラム投与量と投与期間が有意に相関することから、ミダゾラムの長期投与は耐性を増長することが示唆された。本研究から、ミダゾラムは予後が限られた患者の症状緩和のために用いるべきであり、早期からの使用は差し控えるべきだと考えられた。

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