Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.21
Nov 2003

日本緩和医療学会 ニューズレター第21号

ポスターセッション P10 095〜099
司会 : 広島大学医学部保健学科  岡村 仁
 本セッションは主として精神症状緩和に関する演題で構成されており、筆者は以下に紹介する5題の司会を担当した。
 「不安の強い肺癌終末期紹介患者に対する在宅療養に向けての支援」(防府消化器病センター):不安のために在宅療養の継続が困難となった肺癌患者の症例を通して、不安症状緩和のひとつの手段としてカンファレンスの有効性を示した報告であった。日常の臨床現場でよくみられる不安患者と接していく上での有益な知見が提供されたと思われる。
 「乳がん患者夫婦における不安・抑うつと家族機能の関連」(広島大学):乳がん患者とその夫の抑うつ・不安に、家族内の情緒的反応・関与の不適切さが関連していることを示した報告であった。家族機能という側面から患者と夫の心理的側負担に関連する要因を捉えたものであり、今後は本結果に基づいた介入研究が期待される。
 「終末期がん患者の不眠に対する睡眠薬の点滴静注法 (1)ミダゾラム、フルニトラゼパムの有用性」、「終末期がん患者の不眠に対する睡眠薬の点滴静注法 (2)当緩和ケア病棟看護師対象アンケート調査」(埼玉県立がんセンター):経口摂取困難な終末期がん患者の不眠に対してミダゾラムとフルニトラゼパムの点滴静注が有用である可能性、およびミダゾラムの点滴静注に対する看護師の不安・負担が使用経験とともに軽減することを示した報告であった。今回のデータや今後の症例の蓄積により、両薬剤の適切な使用に関するガイドライン作成に結びつくことが期待される。
 「終末期がん患者のせん妄−平成14年度入院患者からの検討−」(社会保険神戸中央病院):せん妄は終末期がん患者の約40%に認められ、鎮静を必要とする率が高いが、原因不明のために治療困難なことも多いことを示した報告であった。せん妄は終末期がん患者において緩和を必要とする代表的な精神症状のひとつであることからも、対応を含めた今後の更なる検討が期待される。
 以上、各施設において精神症状緩和に関するさまざまな評価や試みが行われてきていることが示され、本領域における今後のますますの発展が期待される内容であった。

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