Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.21
Nov 2003

日本緩和医療学会 ニューズレター第21号

ポスターセッション P02 011〜015
司会 : 千葉大学 看護学部  佐藤 禮子
 本ポスターセッションでは、癌性疼痛に関わる研究5演題の発表と質疑・討議が行われた。3演題はがん患者を対象として実施された研究であり、2演題は看護師を被験者として実施された研究であった。いずれも、がん性疼痛に苦しむがん患者に対する良質な医療を提供するために必要度の高いテーマであり、意欲的な取り組みによって有意味な研究成果が発表されており、多くの人々が発表・討議に活発に参加していた。012:癌患者の痛みの評価と適切な薬物の選択方法は、McGill Pain Questionnaireの日本語版を作成し、70名のがん患者の痛みの表現とのつき合せを試みた結果の発表であり、014:癌患者の痛みを表現からみるでは、痛みの表現の変化とモルヒネの投与量の変化との関係を症例分析し、モルヒネで反応する痛みの表現と反応しない痛みの表現を疾患や薬剤と関連づけ客観的に捉えることが重要であると結論づけた。日常臨床での活用が期待される研究成果である。013:がん性疼痛があり通院治療を続けるがん患者の苦痛の様相は、18名のがん性疼痛を持つ外来通院中の患者と密に関わり、自宅で療養生活する患者の苦痛体験を浮きぼりにし、自宅での厳しい苦痛に対峙しつつ心身の余力が限られた状態にある通院がん患者にとっては、普段の生活ができる範囲にまで痛みが緩和されることが最重要課題であることに言及した。外来医療とりわけ外来がん看護の実践としての注目が期待される。011:がん疼痛治療に対する看護師の認知度調査は、がん患者の入院病棟に卒後3年以上勤務している看護師211名への麻薬等の鎮痛薬に関する認知度の質問紙調査で、がん疼痛を訴える患者を看護する機会が常にある看護師の方が、有意に認知度の高い結果を得、看護師の緩和ケア現任教育は卒後2年終了までに行うことを提案した。015:ペインチャート使用に対する看護師の見方と意識は、開発したペインチャートを看護師が使用した分析結果から、痛みの評価に対する関心を高めると同時に患者とのコミュニケーションの確立に有用であることを確認、及び適用性等の検討の必要性を明らかにした。両発表ともに、患者ケアの充実のために価値ある研究成果である。

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