Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.21
Nov 2003

日本緩和医療学会 ニューズレター第21号

教育講演
音楽療法と緩和医療−カナダでの音楽療法の実践を通じて−
司会 : 千葉県がんセンター  長山 忠雄
 近藤里美先生の講演は、40歳半ばのAIDS患者さん自身が作曲・演奏した曲を聞くことから始まった。音楽療法とは何か、カナダにおける音楽療法士の養成プログラムについて説明があった。その教育プログラムには、音楽療法論、異常心理学、病理学、免疫学、生理学なども含まれている。既成の音楽のみでなく即興的音楽が重要であり、また音楽は文化依存的存在で、さまざまな文化のなかで音楽を創ることは受容と思いやりを作る芸術的表現である。緩和ケアにおける音楽療法の特徴を、全体として人間を考える、直感を大切にする、存在そのものの大切さ、時間:クロノスとカイロスの認識、患者・家族との関係、spiritualityの面などから話された。カナダでの音楽療法士は医療の場で学際チームの一員として関わり、音楽療法に求められているものは、pain management、痛みの軽減、relaxationなどである。音楽は感情の表現、言葉によらないcommunicationであり、また、いろいろな思い出や人生を振り返るきっかけを与え、残された方々にたいするbereavement - supportでもあることを、ギターを奏でながらAIDS患者と肺がん患者のおばあさんとお孫さんの実例を紹介して話された。
 最後に38歳、ICUで亡くなられた方の最後の3時間の物語りを音楽と語りで話され、Narrative Based Medicine, Art Based Medicine の重要性を強調し、今後、音楽療法の可能性を考えていってほしいと講演を終わられた。
 パワーポイントによる画像、CDと先生ご自身のギター演奏を交えたご講演は、終始穏やかで、静かな沈黙の間もあり、聴衆一同に深い感銘と感動を与えたご講演であった。

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