Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.20
Aug 2003

日本緩和医療学会 ニューズレター第20号

学会印象記
日本がん看護学会第1回国際学術集会に参加して
兵庫県立看護大学 実践基礎看護学II  荒尾 晴恵
 日本がん看護学会第1回国際学術集会は、メインテーマを「がん看護の世界的潮流 Cancer Nursing : World Wide Topics」とし、平成15年2月8日、9日の2日間にわたりグランキューブ大阪(大阪国際会議場)で開催された。学術集会は、国内外からの一般演題97題の発表、および会長講演「日本におけるがん看護の潮流」、2つの基調講演と1つのシンポジウムならびでプログラムされていた。
 一般演題は「がんの予防」「乳がん患者」「外来看護」「がんとともに生きる人々への支援」「化学療法」「終末期のケア」「疼痛マネジメント」「がんの病名告知」「管理・患者教育」「在宅ケア」「意思決定を支える看護」「栄養の補完」「家族へのケア」「がん看護の教育」と14ものセッションがあり、がん看護の領域の広さを改めて感じさせられた。発表形式は示説形式(ポスターセッション)であったため、発表者とFace to Face で討論することができ参加者の興味のある領域についてディスカッションする光景が会場のあちらこちらでみられた。またポスターは工夫がこらされており、発表者の研究に関してのリーフレットやネームカードのポケットがたくさん設けてあった。
 基調講演1では、「Pain Management: Innovations in Nursing Practice」と題して米国において優れた著書のある緩和ケア専門のCNSであるRita S. Wickham, PhD,RN,AOCN,(Rush College of Nursing)氏の講演があった。講演では、がん患者をケアする看護師が疼痛を緩和することに対する責任を認識すること、異なる痛みに対する知識をもつこと、がんの痛みを「Total Pain」と捉えて系統的な方法により疼痛を緩和するアプローチを行うことが必要であると述べられた。
 基調講演2では、「Breast Care Nursing Practice within the UK」と題して英国で活躍するBreast Care Nurseの第一人者Judith Stewart(Nottingham City Hospital)氏の講演があった。英国では1970年代に始められた研究に起因してBCNが誕生した。英国の乳がんの死亡率は女性の死亡の20%を占めている。BCNはがん患者をケアする学際的(multidisciplinary)なチームの一員として患者に対して心理社会的な支援や教育を提供し、治療の副作用の適応にも大きな影響を与えている。また患者の擁護者としての役割、リンパ浮腫や創傷ケア、家族ケアにも取り組み乳がん患者のQOLの向上に大きな役割を果たしていることを紹介された。我が国でも現在Breast Careを専門にする認定看護師の教育について検討がなされてるが、BCNの活動の実際についての講演から我が国のBCNへの示唆をもらうことができた。
 シンポジウムでは、基調講演を行った2名とEmily Ang氏(Singapore), Li-Hua Lo氏(Taiwan)の4名のシンポジストがそれぞれの国の背景をふまえたがん看護の実践について紹介をされた後、会場と討議が行われた。Rita S. Wickham氏が紹介された看護教育者および現場の看護師を教育するための組織である「The End of Life Nursing Education Consortium(ELNEC)」は我が国にも必要とされているものであると感じた。
 諸外国の卓越した看護専門職との活発な討論をとおして我が国のがん看護のあり方を考える貴重な2日間であった。

Close