Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.20
Aug 2003

日本緩和医療学会 ニューズレター第20号

Journal Club
症状の強さの報告におけるホスピス患者と介護者の一致度
聖路加国際病院 緩和ケア病棟  岡田美賀子
Hospice patient and caregiver congruence in reporting patients' symptom intensity.
McMillan SC, Moody LE
Cancer Nursing 2003 Apr26(3):113-118

 近年、患者ケアは病院内から在宅へと移りつつあり、主たるケア提供者は医療者から家族や親しい友人へと移ってきている。今までの研究で、ホスピスナースは85%の場面でアセスメントのためのデータ提供を介護者に依存していた。このことから、介護者からのデータの正確さと信頼性が特に重要であるということになる。しかしながら、症状の強さのように主観的なデータを介護者が正確に、信頼性をもって報告できるかどうかは明らかではない。
 この研究の目的は、ホスピスがん患者の症状の強さの報告に関する介護者の能力を評価することである。対象はホスピス在宅ケアに新しく登録された264名の進行がん患者と主たる介護者であった。この対象者はNIH基金で行った症状マネジメントとQOLに焦点を当てた大規模な無作為化試験の対象者の一部である。患者は意識が清明で見当識障害のない人であった。患者と介護者に登録時に記入してもらった質問紙は痛みと呼吸困難の数字スケール、便秘アセスメントスケールである。
 結果は、介護者は3つの症状すべてにおいて、その強さを患者よりも有意に高く見積もっていた(P=.000)。患者と介護者の答えた症状の強さは弱い相関から中等度の相関しかなかった(r=.399-.512;P<.000)。この結果は、介護者は患者の症状の強さを信頼性をもって報告できないことを表している。ホスピススタッフは、介護者が患者の症状を推量ではなく、系統的にアセスメントできるようにアセスメントツールを用いて教育しサポートする必要がある。
 日本では、文化的に患者と家族を一単位として扱う傾向があるため、症状についても家族の情報に頼ることはさらに多い可能性がある。家族からの情報も重要ではあるが、この研究結果から、症状の程度については家族の情報に頼らず、患者自身に尋ねることが不可欠であることが示唆された。

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