Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.20
Aug 2003

日本緩和医療学会 ニューズレター第20号

Journal Club
進行がん患者のリハビリテーション、緩和ケアとリハビリテーション
千葉県がんセンター整形外科  安部 能成
Andrea, C., Rehabilitation of Patients with Advanced Cancer, Cancer 2001; 92: 1039-1048.

Abstract: 進行がん患者の充実した人生に対する関心が高まっているにも関わらず、彼等の機能回復や機能低下防止に関しては、さしたる注目を集めていない。支持する文献が少ないにも関わらず、他の進行性疾患に関する経験から、一般的で標準化されたリハビリテーション(以下リハビリと略称)の方法に由り、がん患者の機能を高めることが可能である。進行がん患者に対するリハビリを施行しようと言う論理的課題が、筆者の経験と文献考察に由り、本論文に於いて検討される。身体的機能障害に関する一般的なやり方が、いかに患者に利益をもたらすか、リハビリが再検討される。妥当性のある理学療法および作業療法の技法が、義肢・装具、自助具、福祉機器などと共に、身体障害ごとに陳述される。著者の見解では、リハビリは全ての進行がん患者について検討されるべきである。クリニカルパスと紹介方法が確立されれば、時期を得た適切な機能回復が期待出来る。

Santiago-Palma J, Payne R. Palliative Care and Rehabilitation, Cancer 2001; 92: 1049-1052.

Abstract: 進行がん患者の身体障害は、多くの場合、がん及びがんの治療に起因する床上安静、体力消耗、神経及び筋骨系の問題により発生する。ターミナル患者は、その他の症状に加え、高度の虚弱、苦痛、疲労、呼吸困難を抱えてる。リハビリと緩和ケアは、2つの進行性疾患に関する患者に対する、包括的な医学的ケアから起った。本論文では、この2点の関係性について検討すると共に、末期患者のケアにおけるリハビリの役割の可能性を取り上げた。緩和ケアとリハビリは共通の目標設定と治療方法を持つ。両者は多職種原理をもつが、それによって患者の機能及び快適度を向上させようとしている。リハビリ介入に由り、末期患者の機能改善および症状緩和が可能であると言う証拠は少ない。しかし、臨床経験的に見て、リハビリテーション医学の基本原理を適用すれば、患者のケアは改善するようだ。身体機能障害と患者の自主性を維持することで、患者のQOLは向上し、介護者の負担は軽減する。末期患者に対するリハビリテーション研究を進めれば、リハビリの役割と妥当性のある介入への理解が深まる。EBMの展開は、妥当なリハビリ介入の適応を促進するであろう。
 解説2001年のcancerに掲載された、新しい世紀におけるがんリハビリに関する14の論文の内の2つである。米国の現状を物語るのは、進行癌に対する努力と、緩和ケアへの手薄さである。たとえば、前者の分量は10ページ、参考文献58に及ぶが、後者は4ページ、参考文献46と少ない。

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