Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.20
Aug 2003

日本緩和医療学会 ニューズレター第20号

Journal Club
Parecoxib Sodium, a Parenteral Cyclooxygenase2 Selective Inhibitor, Improves Morphine Analgesia and Is Opioid-sparing following Total Hip Arthoroplasty
国立がんセンター中央病院緩和ケア科  下山 直人
Parecoxib Sodium, a Parenteral Cyclooxygenase2 Selective Inhibitor, Improves Morphine Analgesia and Is Opioid-sparing following Total Hip Arthoroplasty
Malan TP, Marsh G, Hakki SA, et al
Anesthesiology 2003; 98:950-956

「目的」
 新しい静注用のCox2 selective inhibitorであるparecoxibが股関節全置換術後のモルヒネ鎮痛を向上させ、モルヒネ必要量を減少させるか検討する。
「背景」
 オピオイドとNSAIDsは術後痛によく使用されるが、オピオイドは呼吸抑制、精神症状、腸管麻痺、便秘、嘔気・嘔吐の可能性があり、副作用の減少、鎮痛の質を高めるためにはNSAIDsを併用する方がベターである。NSAIDsにもCOX-1とCOX-2があり、COX-1の抑制は、血小板凝集抑制、胃粘膜障害、腎血流量の障害がPGを介して生じるが、COX-2選択性の高いものであれば出血の可能性、腎障害はさけられる可能性がある。また、静注用であるため術後痛には経口薬は使用しずらい点も克服できる。以上の点から、28,000倍のCOX-2選択性を持つparecoxibに期待がかかっている。
「方法」
 parecoxib 20mg, 40mgとplaceboを用い、モルヒネによる術後鎮痛を施す股関節全置換術後症例に対してrandomized, double-blind, placebo controlled studyを行った。
 術後鎮痛は、患者の訴えに応じてmorphine4mgとparecoxib上記いずれかを併用投与を最初に行い、その12h、24h後にも定期的に投与した。疼痛時のレスキュー投与は、PCA方式を用い、1-2mg/doseのmorphineを患者の疼痛に応じて投与した。Lockoutintervalは 6分で行った。痛みの評価は、 2,4,6.9,12,18, 24時間後に行った。(最大 36h)4段階scaleにて全体の評価を患者に質問した。鎮痛効果の評価としてモルヒネのレスキュー量による総モルヒネ投与量を比較した。
「結果」
 対象は、201例が参加そのうち181例が評価対象となった。Parecoxib投与群で有意にモルヒネレスキュー総使用量が低下した。その低下は術後6時間後から始まった。モルヒネのレスキューを使用しなくなった症例は12, 24時間後でもparecoxib群が有意に高かった。
 全体の評価においても有意にparecoxib群が高かった。また、parecoxib40mg投与群で発熱や嘔吐も有意に少なかった。このことから有意にOpioid sparing effectがみられ、術後、早期にオピオイドを中止できリハビリが早まる可能性も示唆されたし、副作用の軽減もはかれた。COX-1抑制が伴わないと血管内皮のPGI2の抑制によって血栓が増加するとの報告もあるが、本研究では血管障害は全くみられなかった。
「結論」
 術後痛に関しては、モルヒネとNSAIDsの組み合わせは有効であり、合併症の少ないCOX2選択制の高いparecoxibは有用であった。
「コメント」
 本研究は術後痛に関する論文であるが、がん性疼痛においても血液障害、腎障害などが合併している症例があり、鎮痛の質を高める本研究はがん性疼痛治療においても有用と考えられた。

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