Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.20
Aug 2003

日本緩和医療学会 ニューズレター第20号

Current Insight
緩和ケア病棟における電話相談の意義
−過去3年間の実態調査から−
聖路加国際病院緩和ケア病棟  中村めぐみ
 緩和ケアの対象となる患者は、症状が一時的に軽快しても、いつまた病状が急変したり、苦痛が増強するかわからないため、患者はもとより家族も不安を抱えていると考えられる。
 従って当緩和ケア病棟では、一度外来を受診あるいは病棟を退院する患者には、直通の電話番号を明記したリーフレットを渡し、PCUスタッフが24時間電話相談に応じている。また、その際には所定の用紙に内容を記録し、スタッフ間で共有している。
 そこで過去3年間に記載された電話相談控えの内容を分類し、集計してみたところ、総数は425件であった。主な相談内容は、症状に関することが最も多く70%を占めていた。その他、受診や入院の希望やその時期、治療の方向性に関すること、処方薬に対する問い合わせや薬の調節に関すること、在宅での処置・ケアの手技に関することなどがあった。
 電話を受けた時間帯は日勤帯が60%、準夜勤帯が32%、深夜勤帯が8%と夜間の相談が少なくないことから、病状の変化に応じたタイムリーなアドバイスを求めていると言える。
 相談された症状を頻度が高い順に並べてみると痛みが圧倒的に多く、吐気・嘔吐、呼吸困難、摂取量の低下、意識障害と続き、同時にいくつもの症状を訴えてくる場合もあった。これらの症状の出現は患者のみならず、見守る家族の心配を駆り立てると考えられる。
 1患者当たりの相談回数は、1回から3回が75%を占めていたが、6回から11回かけて来た患者が13名、16・17回と極めて多かった患者が2名あり、これらの事例からいつでも相談できるという安心感が在宅療養期間の延長につながると言えよう。
 進行がん患者の症状緩和は薬物療法に拠るところが大きく、退院時には薬剤師が服薬指導を行っているが、在宅療養の期間が長くなると症状の変化に伴う薬剤の調節や外来で処方された薬に関する問い合わせも発生している。電話相談の質保証のためには、対応ルートの明確化や患者情報の整理、取り次ぐナースの判断力や采配を高める教育が重要となる。
 電話相談は緩和ケアの継続性を実現する上での重要な機能のひとつと認識している。

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