Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.20
Aug 2003

日本緩和医療学会 ニューズレター第20号

ポスターセッション P18 176〜179
司会 : 栃木県立がんセンター 緩和ケア病棟  種村健二朗
 ポスターセッションの最終4題(P18-176〜179)を担当した。共通する点は、看護師と患者さんの実際の関わりを発表していることである。当学会でも殆どがcure視点からの発表のなかで僅かなcare視点の発表は、内容ではなく発表自体を高く評価したい。看護そのものの発表が増え、内容の質が向上することを願っている。そのなかで演題177を取り上げてみたい。がんサバイバーの生きる意味の変化とサポートグループの報告である。期待した演題であった。がんを体験したことで生きる意味が変化したという。横軸に「時間の意味」、縦軸に「存在の意味」の座標のなかで、生きる意味は「ゆらぎ」ながら変化して「存在の意味」の方向に向かったというのである。非常に面白い。しかし、「具体的な変化は?」という問いに、「時間がある」と「時間がない」の間で「ゆらぎ」ながら「納得する生き方」という「存在の意味」に変化したというのだ。「時間がある」いうことも「時間がない」も量や長さの概念であり、質や意味の概念ではない。「時間の意味」ではない。また「納得しない生き方」から「納得する生き方」に変化するというのも、質の向上というより理解的で即物的言葉である。がんサバイバーは、がんという疾患に罹り「時間がある」「時間がない」という「ゆらぎ」を体験して苦しみ、「長さや量を超える時間の意味」を見出すと同時に「人生の意味」を見つけて成長していった。その過程で、サポートグループは、「ゆらぎ(苦悩)」を共に支えあうコミュニティとして機能していたと発表したかったのではないのか。新しく、しかも大切な内容の発表と思われるので、逃げずに討論して欲しい。看護研究は、客観的な状況は何も変わらない(病状が好転したことでも、死が避けられるようになったことでもない)にもかかわらず、看護という関わりを通して「人生の意味」を探求し、サバイバーたちが希望をみつけだしてゆく援助にあろう。発展を期待する。

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