Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.20
Aug 2003

日本緩和医療学会 ニューズレター第20号

ポスターセッション P14 134〜137
司会 : 埼玉県立がんセンター 緩和ケア科  余宮きのみ
 当セッションでは、高カルシウム血症に関する演題が3題、進行性乳癌に関する演題が1題、発表された。特に高カルシウム血症については、活発な質疑応答が交わされた。
 大阪府済生会中津病院の塚口雅らは、口腔扁平上皮がんで高カルシウム血症の5症例に対し、ビスフォスフォネートを投与しその効果について検討した。いずれの症例も余命が30〜92日と進行がんで、悪液質による症状が合併しており、倦怠感、傾眠、骨転移痛といったQOLの改善は得られなかった。高カルシウム血症の多くは、進行がんで発症することが多く、その治療の可否について迷うことが多い。そういった点での問題提起となる内容であった。
 社会保険神戸中央病院の新城拓也らは、高PTHrP血症の臨床的意義について検討した。PTHrPの高値が持続すれば高カルシウム血症が発症するとの結果を得、PTHrP値が高値であってもカルシウム値が正常な例では、高カルシウム血症の発症を予想するという意味で、PTHrP値測定は有用であるとした。フロアーからは、PTHrP値測定における患者への負担、保険適応上の問題、治療的な意義についての質疑がされた。
 東北大学医学部付属病院の島田哲らは、大学病院で2ヶ月ごとのローテーション医師を教育している立場から、高カルシウム血症の治療についてのフローチャートを作成し、導入前後での変化を調査した。フローチャートを導入したことで、治療に一定の方向性が保たれるようになったという結果が得られた。またビスフォスフォネートの投与回数が増加した半面、治療したことでせん妄が悪化した例があり、治療の中止基準が今後の課題にあげられた。緩和医療における教育が話題となっている昨今、こうした取り組みは興味深い。
 札幌社会保険総合病院の中島信久らは、乳癌で進行がん(T4乳癌)になってから初診した患者では、後悔の念、自責の念などの陰性感情、また周囲の環境などの事情があることを示した。心理・社会的側面への配慮が大切であるとの内容であり、一般外科の治療に携わる中で、積極的治療の適応外の患者への深い洞察がされている報告であった。

Close