Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.20
Aug 2003

日本緩和医療学会 ニューズレター第20号

ポスターセッション P04 031〜035
司会 : ピースハウス病院 ホスピス教育研究所  松島たつ子
 このセッションは、いずれも終末期ケアに関するもので、1題目は、口腔ケアについての発表で、モルヒネ投与時に口渇感を訴えた患者が80%以上あり、これに対するキシリトールの有効性が報告された。10%キシリトール水で有意な改善が認められるということで、参加者から臨床での実践として関心が向けられた。
 次に、褥瘡ケアについて3題の発表があった。ホスピスにおける褥瘡発症の実態調査報告では、病気が進行し褥瘡が発症しやすい終末期にあっても、悪化は15%のみで、他は変化なしや改善が認められたという報告があり、個別性を尊重したきめ細やかなケアが実践されていることが窺えた。具体的なケアの工夫については、キセノンレーザーの使用経験が報告されたが、対象はレーザー照射時の体位保持が可能な患者のみという限界がある。一方、病気が進行し体位変換も難しい状況にある患者に対して、マッサージやタッチング、また、看護師との信頼関係の樹立により安楽な体位への交換を可能にしたことなどにより褥瘡発生・悪化予防できたという報告があった。両発表とも事例数が少なく、またケアの有効性についての客観的な評価も充分とはいえなかったように思う。褥瘡発症・悪化予防の工夫とともに、予後の限られた患者へのケアのあり方、終末期患者のQOLの捉え方、ケアの評価法など、さまざまな側面からの検討が必要であり、今後の研究が期待される。
 最後の演題では、血液悪性腫瘍患者の終末期において、患者・家族・医療者が情報を共有し、話合いながら、その時々の目標を設定し、治療を選択していくことで、目標の達成、QOL向上にもつながったという事例が紹介された。参加者から、PSの高い患者ではこのようなアプローチが可能と思われるが、低い場合には目標設定も難しく、日常の臨床で悩むことが多いとの意見が出された。確かに、QOLを活動性の面からだけ考えると限界があると思われるが、スピリチュアルな面も含めて全人的に捉えてみると、目標は最後まで設定することができ、そのためには、今回示されたコミュニケーションのあり方や自己選択・決定を尊重したアプローチは示唆に富む内容であったと思う。

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