Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.20
Aug 2003

日本緩和医療学会 ニューズレター第20号

ポスターセッション P01 006〜010
司会 : 国立がんセンター中央病院 緩和ケア科  下山 直人
 フェンタニルパッチは昨年3月発売以来、爆発的な売れ行きを誇っている麻薬性鎮痛薬の貼付剤である。今回、私が担当した5題は、すべて北里大学からのフェンタニルの血中濃度を含めたパッチに関する研究報告であった。第1題目は、血中濃度と実測値と理論値の比較という題であった。フェンタニルは脂溶性が高く皮膚からの吸収もよいと考えられているが、理論値に沿っている症例もあれば、血中濃度がかけ離れて高い症例、血中濃度が著しく低い症例もあり、皮膚の状態の個人差によるものとも考えられた。もちろん血中濃度よりも鎮痛効果が最も重要であり、鎮痛効果は比較的安定しているため、使用頻度が高いと考えられている。第2題目は、フェンタニルの血中濃度が貼付量を増加させた場合、相関して上昇するか検討した演題であるが、40例での平均でみると高い相関を示していた。しかし、血中濃度の変動係数は比較的大きく個体差も影響していることが示された。第3題目は、現在市販されているパッチの最小量が2.5mgであり、オピオイドナイーブの患者に対してはフェンタニルの開始量として大きすぎるため、半面をオプサイトで覆い貼付面積を1/2として血中濃度を2例で検討した報告である。同様にばらつきはあるもののほぼ1/2の血中濃度を示し、目的は達成されている事が示唆された。しかし、症例数が少ないため今後の研究結果を待ちたい。第4題目はフェンタニルパッチによって疼痛マネジメントに難渋した症例の検討であったが、その症例の貼付量は60mgにも達していた。特に血中濃度では、30-55mgまでの増量期間で血中濃度の上昇が悪く、鎮痛効果も低下していた。パッチの投与量が上昇するに従って、吸収が悪くなることも考えられた。しかし、対象患者は仙骨神経叢浸潤による神経因性疼痛と考えられ、鎮痛効果が悪かった原因としてはオピオイド抵抗性の疼痛であったことも原因と考えられた。第5題目は、第3題目とも関連している演題であった。オピオイドナイーブ患者に対して、最小パッチ2.5mgを開始量として問題があるかを検討した。特に痛みが中等度以上の患者6例を対象としていたが、痛みが比較的強い例では最小パッチを開始量としても問題となる症例が少なかった。
 以上の報告は、フェンタニルパッチを貼付した結果としての血中濃度の変化を検討した報告で、実際に臨床でわき上がっている疑問に関して答えるための研究とも考えられる。症例が少ない研究もあり、明確には結論できないが、フェンタニルの血中濃度は個人差がありばらついていること、その中で鎮痛効果、副作用をみながら個々の症例に対応していく必要があることが重要であることが示唆されていた。

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