Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.20
Aug 2003

日本緩和医療学会 ニューズレター第20号

シンポジウム
緩和医療期の疼痛対策
司会 : 千葉県がんセンター 緩和医療科 医師  渡辺  敏
聖路加国際病院 緩和ケア病棟 看護師  岡田美賀子
 5人の演者が選択され、それぞれ緩和ケア病棟担当医(長谷川氏)・薬剤師(加賀谷氏)・がん性疼痛認定看護師(酒井氏)・ペインクリニック担当医師(合田氏)・在宅診療担当医師(大岩氏)という立場から緩和医療期の疼痛対策について問題点を発表していただいた。なお司会者側から各演者へ、具体的な疼痛治療ではなく疼痛対策上のシステムに関する問題点を論点とするよう事前に要望した。
 長谷川氏は緩和ケア病棟転入前の疼痛対策の不十分さを訴え、疼痛緩和を図ることでQOLが高められることを実践例を通して示した。
 加賀谷氏、酒井氏は、多職種で関わる疼痛治療を実践するうえでの問題点を指摘し、チーム医療の重要性を主張した。酒井氏の活動(一般外来で相談室的関わりの実践)の問題点は治療担当医との齟齬であり、この対主治医の問題は現実性があって会場からも発言が続いた。緩和ケアチーム活動の充実に向けて加賀谷氏は、「疼痛対策を充実するためには、スタッフの薬物治療や緩和医療に対する共通認識が必要であり、一方では認定制度により医療の質を上げるためにも、学会や行政の理解と教育・育成が必要であり制度改革をお願いしたい。」と提言した。
 合田氏の実践する充実した疼痛治療の内容・システムはいずれも他施設がん治療担当医からみれば羨望であり、「施設較差」の存在という指摘は麻酔科医師のペインクリニックへの理解の喚起を促したように思えた。
 大岩氏は、在宅での疼痛対策をはじめとする症状緩和の低劣性を否定し、その療養環境の秀逸性からも、治療担当医・患者・家族の在宅療養への理解を喚起した。
 緩和医療期の療養の場として緩和ケア病棟および在宅は、その場をいかに採択するかの提示と選択に問題が残るものの、疼痛対策という面ではQOLの向上が期待できるようである。
 一般病院・病棟での疼痛対策においては、酒井氏・加賀谷氏・合田氏らの指摘部分の解決・充実が今後の課題としてとらえられた。また、会場からは具体的な薬剤の使用方法やプラセボについての質問が続き、今後より実践的な知識の普及が必要であると示唆された。

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