Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.20
Aug 2003

日本緩和医療学会 ニューズレター第20号

特別講演
緩和医療とユーモア
司会 : 札幌医科大学医学部  並木 昭義
 柏木哲夫先生の特別講演「緩和医療とユーモア」は、全聴衆者に深い感銘を与えた。先生自身の知識、経験をもとに、機知、ユーモアにあふれた講演であった。末期癌患者の緩和医療では患者、家族が残された人生を少しでもその人らしく喜び、満足感の得られる状況に配慮することである。患者家族に忘れていることは明るい笑いや笑顔である。これを自然な形で作り出す姿勢や工夫が必要である。緩和医療の基本は平等意識がなければならない。患者家族と医療者の間の壁を外すにはユーモア精神が大切である。ユーモアとは愛と思いやりの現実的な表現である。ユーモアは自分がストレスや窮地から立ち直るために、また周囲との人間関係を円滑にするために重要である。ユーモアセンスには楽しむこと、おもしろいこと、感動することに気付く能力と物事を良い面やポジティブな面に視点を変えていく能力が必要である。気付き、作る。それを実際の場面で実行し、味わい、実感する。そして良い方向に応用していくという体験を繰り返すことで、ユーモアセンスが身に付く。味わい、実感するには、主観的な感受性を高める、客観的に評価する鑑賞力、そして好ましいものとして捕らえる能力が必要である。ユーモアセンスを身に付けることでストレスの発散を可能にする。怒りを治める、チームワークを強化する。志気を高める。生産性を高める。ポジティブな雰囲気作りができる。これは患者家族や医療者にとって極めて大切な心得である。柏木先生はユーモアを作り出すのに川柳を活用している。川柳は5・7・5の17字の中に滑稽、機知、風刺などを入れて作る知詩である。川柳を聴き、患者家族が何気なく笑う、微笑めば成功であり、相手から返答があれば大成功である。明るい笑い、笑顔はどんな状況においても効果がある。このことは経験的だけでなく、科学的にも認められている。人は幸せ、元気だから笑うのではなく、笑うから幸せ、元気になるのである。今回の講演内容をもっと多くの患者、家族、医療者、そして一般市民に啓発する必要がある。来年本学会を主催するので、この点を十分に考慮する。

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