Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.19
May 2003

日本緩和医療学会 ニューズレター第19号

学会印象記
第17回日本がん看護学会・第1回国際学術集会に参加して
虎の門病院  長谷川久巳
 大阪にて2003年2月8日〜10日、第17回日本がん看護学会学術集会及び第1回国際学術集会が同時開催された。国内・外のがん看護の実践、研究、教育に携わる看護師を中心に、がんの予防から治療期、ターミナル期など、様々な段階にあるがん患者・家族に対するケア、そしてケアを提供する学生や看護師に対する教育に関する演題が発表され、内容も基礎的な研究から、実践に即応用できるものまで幅広いものであった。どのセッションも会場はほぼ満員であり、かつ活発に意見交換がなされていたのが印象的で、年々がん看護に対する関心の高まりのみならず、看護師が積極的に日々の実践を自らの言葉で表現していくことへの壁が少なくなってきたと思う次第であった。
 一方で、実践の場では、看護師が表現することをためらう状況が依然としてあることを痛感する場面もあった。今回の学術集会のメインテーマは、「がん看護における倫理的ジレンマへの挑戦」であったが、看護師が感じる倫理的ジレンマは、ケアを提供するシステム上の問題や、患者不在のまま医療が提供される構造、患者‐医師‐看護師間におけるパターナリズムなどにより、看護師が治療やケアに疑問を抱いたとしても、それを発言し、話し合うことが憚られることによって、看護師の心の奥深くに沈み込む形で体験することになっているのではないかと思われた。ジレンマについて語りあうことができない状況は、看護師の不全感や無力感を生み出し、ひいては患者様にも伝染することになろう。
 24時間患者の傍らにいることが許されている私達看護師が、より患者の思いに近づき、それを代弁し、他職種に説明する能力を身につけ、チームでの協働を形づくっていけるよう、これまで暗黙のうちに了解されていた医療そのもののあり方や考え方そのものを考え直す必要があることを改めて感じた3日間であった。

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