Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.19
May 2003

日本緩和医療学会 ニューズレター第19号

学会印象記
第5回アジア太平洋ホスピス会議
千葉県がんセンター整形外科  安部 能成
2003年3月5日〜3月9日/大阪国際会議場
 隔年に開催されている本会議は、アジア大平洋地域でホスピス緩和ケアに従事している職員が一同に会して、関連の諸問題を話し合い、国際的なネットワークを構築しようとするものである。この地域は、南は豪州、東に米国、北はロシア、東にインドと世界の主要国を含み、中国を筆頭に人口も多い。しかし、ホスピス緩和ケアは必ずしも先進地域ではない。そのためか、先輩格として英国から何人か招待されている。なかでもドイル先生(Doyle, D.)は、基調講演でホスピス緩和ケアが情緒的に語られることを戒め、科学的な成果を積み上げていくと共に、学会として地域社会にも働きかけるように諭されたのが忘れられない。
 前回の台湾大会では、ホスピス緩和ケアにおけるチームアプローチの重要性がしばしば述べられた。これに対して今回は、ホスピス緩和ケアの教育的重要性に関する発言が多かった。また、その対象も学生、専門家、政策担当者、家族、市民など、初心者の技術講習から一般市民への啓発活動迄、様々なレベルに及んでいた。そして、マネジメントから広報活動、学会発表や国際化に至る迄、われわれ従事者一人ひとりに課せられた責務であると再認識させられた。
 演題の発表形式では、口述発表は内容に比較して時間を要するものがみられた。他方、前回に比べて倍増したポスターセッションには、工夫の余地が感じられた。小生の見る限りで20%近い欠席は参加者の責任であるが、質疑応答の時間設定や表賞がないのは欧米のスタイルと異なる。また、当日配付の抄録集にもキーワードによるインデックスがあれば、ぐっと便利だろうと感じた。例えば、マレーシアでは在宅ホスピスにおける施設の役割としてリハビリテーションの重要性が指摘されていたが、関連演題としてはポスターに2演題が出ていたのみであった。このような関連発表の検索には抄録集の改善が必要と思われる。
 俗に言われる食い倒れの町という評価は、バンケットやコーヒーブレイクの味に表れていたし、雨に濡れた傘をクロークに預けると帰りには綺麗に折り畳まれて返却され、大阪のサービス精神には敬服した。主催者のアナウンスによれば本会議の参加者は1,000人を越えたそうである。日野原名誉会長をはじめ、柏木大会会長、恒藤実行委員長、ならびに関係諸氏の努力が、このような成果を生んだに違いない。
 今回の会議中に柏木会長が再三要請されていたように、ぜひとも多くの日本の方々が国際化の第一歩としてAPHNの会員になられることを切望する。なお、第6回は2006年3月に韓国のソウル市で開催される。成田から飛行機で2時間の隣国であるから、日本からも多くの参加者があることを期待してやまない。

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