Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.19
May 2003

日本緩和医療学会 ニューズレター第19号

Current Insight
緩和医療における代替療法の問題点
要町病院  吉澤 明孝
 近年欧米をはじめ海外では、がんを生活習慣病としてとらえ、免疫賦活作用を期待する生活習慣改善をはじめとする代替療法が注目されてきている。日本でも数多くの代替療法が施行されているが、その多くがエビデンスに乏しくがん治療医に受け入れられていないため、本人家族が希望しても特に入院治療中は許可されず、主治医に隠れて服用している例が多く見られる。実際に紹介されてくる再発がん患者の家族から今までさせてもらえなかった代替療法の希望と紹介元主治医への不満を聞くことがある。治療に対して、患者自身へのインフォームドコンセント、治療選択権が言われていても、その主治医の治療方針に従わないなら退院するように言われるため、主治医の言うことを聞くしかなかったと言われる患者家族がいることは、現在のがん治療が患者主体といいながら不十分な点があることを浮き彫りにしているといわざるを得ない。この問題は、現代医学(主治医)側と、代替療法側双方に問題があると考えられる。兵頭先生が中心に行われている代替療法の研究班の報告では、民間療法は、がん患者の87%が施行しており、ご家族が一番熱心になり、何かによいのではと期待して使っていると答えた人が多かったようであり、主治医に知らせず使用しているが59%、主治医は無関心が29%であった。医師側は、対応として「どちらでも」という無関心が59%、効果はあまりなしと全くなしで80%、その理由として信頼できる情報がないが80%を超えていた。また現在日夜、新聞広告に代替療法のエビデンスのない「奇跡の…」などの過大ともいえる広告が出ているのも問題であり、どの会社の健康食品が良いのか、価格もまちまちであり食品としての安全基準、表示基準もないのが現状であり、患者を惑わしているのも事実である。今後、主治医側は、患者家族に対して治療選択のひとつとして代替療法を加えられるようにエビデンスの集積に協力し、代替療法側は過大な報道宣伝でなくエビデンスに基づいた情報提供できるように努め、適正な価格と、品質の提供を会社間で検討チェックできる方法を模索してもらい、少しでも患者のQOLに貢献できる代替療法を双方協力し合う歩み寄りが必要であると痛感している。

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