Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.19
May 2003

日本緩和医療学会 ニューズレター第19号

Current Insight
日本においてがん患者が緩和ケアを受けられる施設は
国立がんセンター中央病院緩和医療科  下山 直人
 日本においてがん患者が緩和ケアを受けられる施設は、1)緩和ケア病棟・ホスピス、2)在宅ホスピスケア関連施設が中心であるが、ほとんどの患者は一般病院で死亡しているのが現状であり、そこでの緩和ケアの充実が望まれている。緩和ケアに携わる医師は、通常、緩和ケア病棟・ホスピスでの研修を受けることが可能であるが、一般病棟での緩和医療を研修する施設はまだ一部の大学病院を除きまだ少ない。また、出身の科はばらつきがあり、それぞれが得意不得意な領域を持っていることは否めない。ホスピス緩和ケア病棟で勤務するためには、緩和ケアに関する広範な知識、経験のみでなく、患者を包括的に診ていくための内科的な経験が重要である。一般病棟でがん患者を診ていくためには、がん性疼痛をはじめとした身体症状、抑うつなどに対する精神症状の緩和に関する専門的な治療経験をつんでいることが必要である。緩和ケア病棟では主治医は緩和ケア医であるが、一般病棟では主治医(内科、外科系)がおり、症状緩和に関しては少なくとも主治医を上回る知識と経験が必要となるからである。
 国立がんセンター中央病院には、緩和ケア病棟はないが、現在、支持療法関連の科として緩和医療グループと精神腫瘍グループがあり、それに所属するレジデント(卒後3年以上)、チーフレジデント(卒後5年以上)が実践で教育、経験を重ねている。その内、緩和医療グループのレジデントのユニークな点は、出身がどこの科であっても内科研修を1年から1年半の間、行えることである。内科系には呼吸器内科、消化器内科、肝胆膵内科、血液内科、乳腺内科、診断学などがあり、それぞれの科において主治医としてがんの患者の治療、ケアにあたることが可能である。希望があれば東病院の緩和ケア病棟での研修も可能である。レジデントとしては、現在は麻酔科出身者が2名おり、1人は内科研修中、もう1人は東病院緩和ケア病棟での4ヶ月の研修を終え、中央病院において一般病院での緩和医療のうちの痛みの治療、その他身体的な苦痛の緩和を実践で学んでいるところである。中央病院では緩和ケアグループと精神腫瘍グループに専門看護師が加わり、薬剤師、ソーシャルワーカーを含め、チーム医療を行っており、それにも加わることにより包括的な全人的な緩和医療の研修、そして緩和医療に関する研究が可能になることをめざしている。
 チーム加算が行われるようになり、緩和ケアに携わる医師の働き場所は、ホスピス緩和ケア病棟だけではなくなっている。我々は、精神腫瘍部を含め、緩和ケア病棟、一般病棟での緩和ケアチームでの経験をつんでいくことが、一般病棟での緩和ケアを行うためには必要であると考えており、この教育プログラムの充実を図っていきたいと思っている。

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