Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.18
Feb 2003

日本緩和医療学会 ニューズレター第18号

学会印象記
第4回アジア生命倫理学会印象記
兵庫医科大学消化器内科・アジア生命倫理学会副会長  谷田 憲俊
 第4回アジア生命倫理学会は、“Asian Bioethics in the 21st Century”の総合タイトルで、11月22日〜25日までソウル大学で開催された。話題の中心は生殖医療や遺伝子がらみで、中国や韓国ではウサギ受精卵脱核細胞にヒト細胞核を移植する実験や受精卵胚細胞を利用した幹細胞研究が盛んである。いずこもキリスト教勢力がそれらに反対するが、制限付きで認められる方向にあるのは多くの西欧諸国と同様である。ちなみに、儒教と道教には反対する理由はないという。
 緩和医療に関するテーマは生命倫理的側面はどの国も同じなので、それぞれの状況を紹介する。トルコ人は名誉を重んじ自決も崇高な行為とされていたが、現在では消極的安楽死(点滴の中止など)は意図しない殺人罪とみなされるなど、生命延長が至上となっている。一般に発展途上国の人々は、終末期は病院に止まることを望む。台湾では医師が延命医療中止を提案しても、家族は徹底的な延命を求める。困った政府はホスピス緩和医療法を2000年に策定して、本人の意思を法律で保証した。しかし、家族が本人への情報開示を阻止するので、実際は法律は「絵に描いた餅」である。韓国からは無益な延命医療の蔓延と、患者とのコミュニケーションを改善する必要性が指摘された。
 それらの問題に対処するため、生命倫理教育も重要なテーマだった。私は日本宗教界の安楽死に関する調査結果を示し、彼らは世俗界より中庸の態様にあり、世俗界の安楽死論議に宗教界も参加する必要があると話した。アジアの学会とはいえ、欧米の参加者も多く、自国の状況や指針との比較などから活発な議論が展開された。日本からの参加も多く、韓国側の温かいもてなしに感動した。

Close