Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.18
Feb 2003

日本緩和医療学会 ニューズレター第18号

学会印象記
日本生命倫理学会第14回年次大会
筑波大学臨床医学系  庄司 進一
 平成14年11月2日〜3日広島国際会議場で広島大学甲斐克則会長の下、統一テーマ「人間の尊厳」と生命倫理−平和都市広島からの発信−で、日本生命倫理学会第14回年次大会が開催された。基調講演は平良専純放射線影響研究所副理事長の「研究分野における倫理問題」で、シンポジウムは「広島からみた生命倫理」と「科学技術文明と人間の尊厳」の2つ、ワークショップは「人体実験・臨床試験と生命倫理−生命倫理の原点から考える−」、「リプロダクティブ・ライツと胚の尊厳」、「責任原理−環境倫理学の検討−」、「人体利用・商品化をめぐる生命倫理と人間の尊厳」、「生命倫理教育」、「自己決定原理と人間の尊厳」の6つ、一般演題は「終末期医療と生命倫理」の3題、「看護と生命倫理」の4題、「遺伝子をめぐる生命倫理」の4題、「インフォームド・コンセント」の3題、「生命倫理に関する意識調査」の4題、「医療情報をめぐる生命倫理」の4題、「移植医療と生命倫理」の4題、「高齢者ケアと生命倫理」の4題、「フェミニズムの観点からみた生命観と人間の尊厳」の3題、「生命倫理の理想と現実」の4題、ポスターの2題と盛り沢山であった。
 ここでは、終末期医療と生命倫理のセッションの3題の一般演題を紹介する。尚美学園大学の五十子敬子氏は、「末期患者の人権と成人後見制度−精神的障害により事理を弁護する能力に欠ける者の代理意思決定について−」の演題の中で、任意後見契約に関する法律による身上監護につき、任意後見人は重大な医的侵襲を伴う医療行為や生命の終結に関わる意思決定を行うことはできない、と述べた。京都大学文学研究所の児玉聡氏は、「ダイアン・プリティ裁判−積極的安楽死を求めて欧州人権裁判所に訴え出た英国MND患者」の演題の中で、欧州人権裁判所の積極的安楽死の権利を認めないという判決を中心に法的・倫理的問題を話した。長野県看護大学の中嶋尚子氏は「終末期患者に対する人工栄養と水分の補給と中止;看護師の行動とその背景」の演題の中で、看護師の行動を3パターン、その背景を6行動要因に分類でき、後者はmoral certain, moral uncertain, moral sensitivity defectと3つにまとめられる、と述べた。

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