Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.18
Feb 2003

日本緩和医療学会 ニューズレター第18号

学会印象記
高松宮妃癌研究基金第33回国際シンポジウム
「がん画像診断における革新的進歩」
国立がんセンター  垣添 忠生
 上記の国際シンポジウムが2002年11月12日から14日の3日間、東京パレスホテルで開催された。私はこのシンポジウムの組織委員長を務めたので、内容の概略をお伝えする。
 この高松宮妃国際がんシンポジウムは1970年から毎年1回開催され、今回で第33回をむかえた、国際的にも認知され、高い評価を受けているシンポジウムで、従来基礎的な研究テーマが中心であった。今回初めて、「がん画像診断における革新的進歩」と題して、臨床的なテーマが取り上げられた。
 診断という行為は、「見えないものを視る」という先人の努力の積み重ねで進歩してきた。1895年、レントゲンがX線を発見し、人体を透視できることがわかってから、20世紀に入ってX線診断学に始まる画像診断学は飛躍的に進歩した。X線診断、CT、MRI、超音波検査、内視鏡といっためざましい進歩が見られた。こうした画像診断の進歩により、身体の中にがんがあるか否か、すなわち、がんの「存在診断」と、どんな性質のがんが、どの臓器に、どのくらい進んでいるか、すなわち、がんの「質的診断」が正確に行われるようになった。こうした情報はがん患者さんの治療に役立つだけでなく、緩和医療の上でも大きな貢献をしてきたはずである。
 今回のシンポジウムでは、こうした画像診断の現状と将来を、診断手技にもとづく報告と、臓器がんの診断法に関する報告の2つの流れを、縦糸と横糸のように組み合わせて3日間を構成した。合わせて、最終日には、カプセル内視鏡、顕微鏡的CT、光CT、分子イメージングといった、新しい将来の方法論の報告もなされた。また異なる医療機関を画像診断で結ぶいわゆる画像ネットワークに関しても、米国ではこれがビジネスとして成立するほど活発に展開されている現状も報告された。このように、今後さらなる画像診断の進歩により、患者さんの検査の際の苦痛が軽減され、診断の質は一層上ることが期待される。これにがんゲノム情報や新しい腫瘍マーカーなどの情報を加えることにより、近い将来、がんの診断はきわめて高いレベルに達することが期待される。こうした成果によって、緩和医療を要する患者さんが少しでも減ることを期待している。

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