Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.18
Feb 2003

日本緩和医療学会 ニューズレター第18号

Journal Club
Quality of life of women with recurrent breast cancer and their family members
国立がんセンター研究所支所精神腫瘍学研究部  明智 龍男
Quality of life of women with recurrent breast cancer and their family members
Northouse LL, et al
Journal of Clinical Oncology 2002; 20:4050-4064

【目的】
 乳がんの再発は、患者、家族にとって極めて困難な出来事である一方、再発後の患者、家族のQOLに関しての知見はほとんどない。本研究では、再発後1ヶ月以内の時点における患者、家族のQOLとQOLに影響を与える人口統計学的・医学的・心理社会的要因、そして患者と家族のQOLの関係について検討することを目的とした。
【対象と方法】
 本研究は、家族介入が再発乳がん患者とその家族のQOLに与える影響を検討する大規模な前向き研究のベースラインデータを用いて行われた。対象の適格条件は乳がんの再発あるいは進行乳がんの進展が1ヶ月以内に確認された女性のうち、21歳以上で、6ヶ月以上の生存期間が見込まれるもの、そして主たる介護者となる家族が研究に参加する意思を有するものとした。250組の患者/家族のうち、研究参加に同意したのが200組であったが、同質性を保つために、病期がIII期あるいはIV期であった患者とその家族189組のデータを解析に用いた。患者、家族の平均年齢(標準偏差)は各々54(11)歳、52(13)歳であり、研究に参加した家族の続柄は配偶者が59%、娘が14%、姉妹が8%、息子が5%等であった。本研究では、QOLデータの記述統計学的解析を行い先行研究の結果と比較するとともに、LazarusとFolkmanのstress-appraisal modelに基づき、個人的要因(人口統計学的背景、self-efficacy、current concerns)、社会的要因(family hardiness、social support)、疾患関連要因(身体症状、病期、再発までの期間)、appraisalに関する要因(病気と介護に対するappraisal、不確かさ、絶望感)がQOLに与える影響を構造方程式モデルを用いて検討した。さらに、患者と家族のQOLの相互関係についても検討を行った。
【結果】
 患者のQOLは身体的、機能的、感情的な側面において有意に障害されていた。家族のQOLは感情的な側面において有意に障害されていた。構造方程式モデルの検討からは、患者/家族のself-efficacy、social support、family hardinessがQOLに良好な影響をもたらしていた一方で、身体症状、current concerns、絶望感、病気と介護に対するnegativeなappraisalがQOLの低下をもたらしていたことが示された。患者と家族のQOLには相互関係がほとんど認められなかった。
【考察】
 再発乳がん患者のQOLの障害は著しく、そのQOLを改善するためのプログラムが必要であることが示された。また、家族の感情状態を改善し、有用な介護者として在り続けることを援助するために、そのプログラムには、家族も含める必要があると考えられた。

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