Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.18
Feb 2003

日本緩和医療学会 ニューズレター第18号

Journal Club
Stress Response Syndromes and Cancer :
Conceptual and Assessment Issues
京都府精神保健福祉総合センター  河瀬 雅紀
Stress Response Syndromes and Cancer : Conceptual and Assessment Issues
M Gurevich, GM Devins, GM Rodin.
Psychosomatics 43 : 4, July-August 2002
ストレス反応症候群とがん : 概念及び評価に関する問題
MARIA GUREVICH, PhD.
GERALD M. DEVINS. Ph.D., C.Psych.
GARY M. RODIN. M.D., FRCP (C)

 ストレス反応症候群、特にPTSDの診断を満たす症状の出現は、早期がんの診断後まもなくの患者では3〜4%、がん治療後の患者では35%にまで達し、閾値下あるいは部分的PTSD(Post-Traumatic Stress Disorder)はもっと多くみられる可能性がある。ただ、臨床的に意味のあるストレス反応を取り上げるための適当な規準は、がん患者においてはまだ確立されていない。一方、がんは、慢性的に続く脅威であるという点、不確実性と捕らえどころのなさ、しかしその脅威が予期される点、そして自身の身体の内部から生じている点で、他の外傷的出来事とは異なると著者らは指摘している。次ぎに診断評価上の問題点としていくつかの示唆を与えている。例えば、ストレス因として診断、治療前や後、再発などを取り上げた場合でも、研究者によって評価の時期が一定しないなどの問題がある。また、先行する外傷体験の有無が新たな外傷性ストレス反応に影響を与える可能性があり、さらにストレス反応症状そのものが、疾患や治療に関連した症状で修飾される恐れもある。危険因子については、年齢、性別、身体症状の重症度、所得と教育などが検討されたが結論は得られていない。疾患の進行度とも必ずしも関連は認められていない。治療の強さとの関連では評価は割れているが、むしろ治療についての意味づけの方が重要であるかもしれない。さて、ストレス反応は時間と共に変化し、侵入症状、回避症状ともその強度は経過とともに減少していくが、このうち侵入症状は後々のストレス反応症状との関連が示唆されている。社会的な支援と資源については、たとえば、過度の要求や批判は侵入や回避症状を増強すると言われ、また、医療関係者との関係に困難を来たしている場合は、その後のストレス反応を予見するものでもある。
 最後に、治療に関しては、認知行動療法、薬物療法、EMDR(Eye Movement Desensitization and Reprocessing)が主に評価されてきた。個人あるいは集団療法で検討され、侵入症状の改善をみたものもあるが、IES(Impact of Event Scale)などを用いて評価されたものはまだまだ少ない。

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