Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.18
Feb 2003

日本緩和医療学会 ニューズレター第18号

Journal Club
神経障害の発生率と脳腫瘍患者のリハビリテ−ション
千葉県がんセンタ−整形外科  安部 能成
Mukand JA, Blackinton DD, Crincoli MG, Lee JJ, Santos BB: Incidence of neurologid deficits and rehabilitation of patients with brain tumors. Am J Phys Med Rehabil 2001; 80: 346-350.

目的:急性期のリハビリテ−ション・センターにおいて、成人脳腫瘍患者のリハビリテ−ションに見られる共通の神経学的問題について検討し報告する。
計画と背景:多様な組織形(膠芽細胞腫31%、髄膜腫26%、転移性腫瘍26%など)を有する51症例(男65%)に関する遡及的・記述的研究。転帰の判定はFIM(機能的自立度評価)、リハビリテ−ション期間、退院先によって行った。
結果:比較的多く見られた障害の頻度順は、認知障害(80%)、虚弱(78%)、視覚障害(53%)、感覚喪失(38%)、排便・排尿障害(37%)であった。比較的少数に留まった障害は、脳神経障害、構音障害、嚥下障害、失語、運動失調、複視であった。28症例は3つ以上の障害を重複して持ち、20症例は5つ以上の障害を重複して持っていた。対麻痺及び四肢麻痺患者(29症例)では、認知、視覚機能、感覚、脳神経麻痺、神経因性膀胱/直腸などの障害を有していた。入院時の平均FIM得点は67.2であり、退院時は87.1に上昇していた。この傾向は原発性、転移性において同様であった。35症例は自宅退院、7症例がナーシングホームへ、1症例がホスピスへ、8症例は急性期病棟へ転出した。
結論:本研究の対象症例においては、認知障害、虚弱、視覚障害の頻度が高かった。転移性及び原発性のいずれにおいても、広範な多職種によるリハビリテ−ションが有効であることが示唆された。
<解説>筆頭著者は、米国ロードアイランド州にあるリハビリテ−ションセンターのリハビリテ−ション医学の責任者である。英語圏では、近年脳腫瘍患者に対するリハビリテ−ションへの関心が高まっている。これまでの臨床研究が脳の外傷や脳血管障害との比較研究であったのに対し、本研究は脳腫瘍を正面から扱っている。また、評価法にFIM、期間、退院先の3つを用いることは英語圏のリハビリテ−ション関連論文ではしばしば見られるものである。

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